安倍元首相の地元で「昭恵夫人出馬」待望論「安倍さんの政治を引き継いでくれる人に」

安倍晋三・元首相が亡くなった衝撃は、週が明けても収まる気配がない。“弔い合戦”となった参院選で圧勝した岸田文雄・首相は、一夜明けた7月11日の記者会見で「(安倍氏の)思いを受け継ぐ」と改めて表明した。
目下、自民党にとって喫緊の課題は、安倍氏の地盤を誰が受け継ぐか、という問題だ。衆議院山口4区の補欠選挙は、「1票の格差」訴訟の最高裁判決次第ではあるが、早ければ10月にも行なわれる予定で、「候補者選びを急がなければならない」(自民党関係者)という。
悲しみに暮れる地元・山口でも、後継に関する議論を避けては通れない。安倍氏の後援会関係者はこう話す。
「安倍さんと昭恵夫人には子供がおらず、これまでも誰が安倍さんの地盤を継ぐのかたびたび問題にされてきましたが、結論が先送りされてきました。
弟の岸信夫・防衛相の長男で防衛大臣秘書官を務める信千世さんを安倍家の養子に迎え、山口4区を継がせるという話も出たことがありますが、岸さんの体調問題もあり、信千世さんは次の衆院選で岸さんの地盤・山口2区を継ぐ可能性が高い。そうなると一体誰が山口4区を守ってくれるのか……。我々は頭を抱えています」
そんな中、にわかに地元で広がっているのが「昭恵夫人出馬」待望論である。ある地元関係者はこう話す。
「まだ具体的に事が進んでいるわけではないですが、『後継は昭恵さんがいい』という話は出ています。甥っ子(信千世氏のこと)は地元ではどんな人か分からないしなぁと。もちろん本人が受けてくれればの話ですが、『昭恵さんならやってくれるのではないか』と言われています。
これまで地元では、昭恵さんは『何をやるか分からない人』という認識で受け止められていましたが、今回の悲しみを乗り越えて、安倍さんの後を継いで出馬してくれるのではないかと期待をかける人たちがいるのです」
山口県下関市にある安倍氏の地元事務所に献花に訪れた30代女性はこう話した。
「母親が熱心に安倍さんを応援していました。いま体調を崩して入院しているので、代わりに私が献花に来たんです。安倍さんは、私が政治を考えるようになってから、総理大臣としてはもっとも馴染みがある人。安倍さんの政治を引き継いでくれる人を後継者として希望したいです」
「家庭内野党」を公言していた昭恵夫人だが、安倍氏とはおしどり夫婦として知られていた。2007年、体調不良で第1次政権を終えることになり、落胆する夫を日々支え続け、首相に返り咲いた後も首相の体調ケアに全力を尽くしていた。安倍氏の政治信念を誰よりも間近で見てきたことは間違いない。かつては急死を遂げた中川昭一氏の後を継いで、妻の中川郁子氏が出馬した前例もある。
11日の通夜、12日の葬儀では喪主を務める昭恵夫人。その後の昭恵夫人の去就は──。