野党第1党の立憲民主党はふるわず、改選23議席から大きく後退した。物価高騰は政府の失策による「岸田インフレ」だとの主張を強め、政権批判票の最大の受け皿となることを狙ったが支持は広がらなかった。
立民の泉代表は10日夜のNHKの番組で、「まだまだ(政党)支持率が低い状況の中で、今後党勢の回復と強化を最重視して歩んでいかなければならない」と語った。泉氏は参院選を再び政権交代を狙える党への脱皮の足がかりと位置づけたが、党勢回復への道が厳しい現状を突きつけられた。新潟選挙区(改選定数1)では、4選を目指した森裕子参院幹事長が落選した。事実上の与野党一騎打ちだったが、自民新人に敗れた。
非改選の欠員1の補欠選挙を合わせて5人が当選する神奈川選挙区では、擁立した寺崎雄介、水野素子両氏の「共倒れ」を防ぐため、党本部が選挙戦の途中から水野氏に支援を集中させる異例の対応を取った。
その結果、水野氏が当選したものの、任期3年となる5位に終わった。
立民は昨年10月の衆院選で敗北し、前身の旧立民時代から党を率いてきた枝野幸男氏が代表を引責辞任。後継の泉氏は、共産党との連携を重視した「枝野路線」からの転換を図り、従来の支持層であるリベラル層に加えて保守寄りの層の支持獲得を目指した。
キャッチフレーズに掲げたのが生活者目線の政策実現を目指す「生活安全保障」だ。物価高対策の争点化を狙い、時限的な消費減税や年金の追加給付を主張し、2%の物価上昇率目標を定めた政府と日銀の共同声明の見直しも打ち出した。
立憲民主党の泉代表は10日夜の記者会見で、参院選で議席が伸び悩んだ責任について「次のわが党の勢力拡大に向けた努力をしていきたい」と述べ、代表辞任は否定した。ただ、党内で西村幹事長ら執行部の責任を問う声が出る可能性はある。