林外相は18日、来日した韓国の
朴
(パク)
振
(チン)外相と東京・麻布台の外務省飯倉公館で会談した。朴氏は最大の懸案となっている元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)問題の解決に努力する意向を伝え、両外相は問題の早期解決を図ることで一致した。ロシアのウクライナ侵略や北朝鮮の核・ミサイル開発問題を踏まえ、日韓・日米韓協力の進展が重要との認識を確認した。
日韓外相会談が対面で行われたのは今年2月以来で、5月の
尹
(ユン)
錫
(ソン)
悦
(ニョル)政権発足後では初めて。日本での開催は2019年11月以来、2年8か月ぶりだ。両外相は会談とその後の夕食会を合わせ、約2時間30分協議した。
林氏は会談で、日韓関係を発展させる必要性を指摘し、「元徴用工問題をはじめとする日韓間の懸案の解決が必要だ」と述べた。この問題を巡っては18年の韓国大法院(最高裁)による判決を受け、韓国の裁判所が日本企業の韓国内資産を売却する「現金化」に向けた手続きを進めている。朴氏は「現金化が行われる前に、望ましい解決策が出るよう努力する」と応じた。
朴氏は、問題解決に向けて今月発足させた官民協議会などの取り組みを説明し、理解を求めた。
また、朴氏は安倍元首相が銃撃されて死去したことに「衷心よりの弔意」を伝え、林氏は謝意を述べた。
両外相は、ロシアによるウクライナ侵略に対する非難でも一致した。北朝鮮への対応については、日韓のさらなる連携を確認した。朴氏は北朝鮮による日本人拉致問題で日本を支持する考えを伝えた。
朴氏は20日まで滞在し、岸田首相と19日にも会談する方向で調整している。
尹大統領は日韓関係改善に意欲を示しているが、元徴用工問題に関する国内の意見集約は難航している。「現金化」は年内にも行われる可能性があり、実行されれば関係修復が一層困難になるのは確実だ。
日韓外相会談の要旨は次の通り。
【元徴用工問題】
林外相 1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要があり、旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとする日韓間の懸案の解決が必要だ。
朴振外相 (日本企業の韓国内資産を売却する)現金化が行われる前に、望ましい解決策が出るよう努力する。
両氏 (元徴用工)問題の早期解決で一致。
【日韓、日米韓】
両氏 現下の戦略環境にかんがみ、日韓・日米韓協力の進展が今以上に重要な時はないとの認識で一致。
【ロシア、北朝鮮】
両氏 ロシアによるウクライナ侵略に対する非難で一致。北朝鮮への対応で更なる連携を確認。
朴氏 拉致問題の解決に向けて改めて支持。
【安倍元首相】
朴氏 安倍元首相の死去に関し、衷心より弔意を伝達。
林氏 朴氏の弔意に謝意。
【その他】
両氏 両国間の(懸案を巡る)協議を加速させることや人的交流の再活性化を進めていくことで一致。