安倍晋三・元首相に対する銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件直前に
投函
(とうかん)した手紙には、銃器への強い執着をうかがわせる記述もあった。
「私は『喉から手が出るほど銃が欲しい』と書きましたが、あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました」
手紙の前半にはこう記されている。相手は松江市に住むルポライターの米本和広氏(71)で、「世界平和統一家庭連合」の活動を批判するブログの運営者だった。
山上容疑者は2012年頃から、米本氏のブログにハンドルネームで書き込んでいた。最後の投稿は20年12月。「
復讐
(ふくしゅう)は己でやってこそ意味がある。喉から手が出るほど銃が欲しいのだ」「まだ足りない」と書き込んでいた。米本氏は投稿に反応しておらず、手紙はその1年7か月後に送られてきた。
手紙は岡山市で事件直前に投函されていた。同市では事件前日の7日夜、安倍氏が参加した演説会が開かれており、山上容疑者は手製銃を持って会場に向かう途中に投函したとみられる。
手紙には「安倍(元首相)の死」という文言があるが、犯行を明確に予告する記述はない。山上容疑者は奈良県警の調べに対し、安倍氏を狙った理由について、「(同連合と)つながりがあると思った」と供述している。
手紙に差出人名は記されていなかったが、山上容疑者と母親らが同連合と献金の返金に関して交わした合意書のコピーが同封されており、山上容疑者の氏名が書かれていた。