国内初確認のサル痘、検査・治療態勢は 天然痘ワクチン有効か

政府が省庁会議、態勢整備確認
世界で急拡大する感染症「サル痘」について世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当すると宣言したことを受け、政府は25日、関係省庁による会議を開いた。ウイルスの感染力や病原性などについて国民に情報提供することや、検査や医療態勢の整備を進めることを確認した。
厚生労働省は検査やワクチン、治療薬の準備を進めている。検査は、国立感染症研究所と、各都道府県の少なくとも1カ所の地方衛生研究所でウイルスの遺伝子解析で実施する。
治療には天然痘の治療薬「テコビリマット」を投与できる。米企業が開発した飲み薬で、欧州ではサル痘の治療薬として承認されている。国内では未承認だが、国が薬を輸入した。特定臨床研究という位置づけで、国立国際医療研究センター(東京都)や、りんくう総合医療センター(大阪府)など4カ所で投与できる。
予防には、かつて人の間で流行していた天然痘のワクチンが有効とされる。天然痘ワクチンはKMバイオロジクス(熊本市)が製造したものが備蓄されている。厚労省の担当者は「十分な量の備蓄がある」としている。
天然痘ワクチンは現在、効果を調べる臨床研究として、感染者の濃厚接触者らに接種したり、医療従事者に事前に接種したりできる。厚労省は今後、KMバイオロジクスが製造・販売する同ワクチンをサル痘の予防に使えるように薬事承認するかどうか専門部会に諮る。
また外務省は全世界を対象にした渡航で、十分な注意を促す感染症危険情報のレベル1(4段階のうち最も低い)を出した。
サル痘に感染すると、発疹や発熱、リンパ節の腫れなどの症状が出て、多くの場合は2~4週間で自然に回復する。潜伏期間は7~14日で最大21日間とされる。感染経路は性的な接触を含む発疹部分や体液との接触、または対面の近い距離で長時間飛沫(ひまつ)を浴びることなどが考えられている。
WHOによると、サル痘の患者は5月初旬以降、もともとの流行地のアフリカ以外で感染が急増。欧州、米国など75の国と地域で1万6000人以上(23日時点)の感染者が報告されている。5人が死亡したが、アフリカ以外での死亡報告はない。
今回の流行では、MSM(男性と性行為をする男性)の間で患者が相次いで確認されており、WHOのテドロス事務局長は23日の声明で「(感染者は)MSM、特に複数の性的パートナーを持つ男性の間に集中している。適切な戦略を立てることで感染を止めることができる」とした。【金秀蓮】
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欧州や米国で報告が相次いでいる感染症「サル痘」が国内で初めて確認された。東京都在住の30代男性。厚生労働省関係者が明らかにした。