「台風は来てほしくないけど…来ないと困る」石垣島のダイビング業者 サンゴで人気の海「砂漠化」の危機

エメラルドグリーンの海で知られる沖縄・石垣島の川平湾。船底からガラス越しに鮮やかなサンゴを観察するグラスボート遊覧が人気だが、先月中旬ごろから白化現象が起き始めた。日を追うごとに色を変える観光資源のサンゴを前に、業者らは困惑する。
(八重山支局・粟国祥輔)
「80%は真っ白だよ」。白化を確認して1カ月が過ぎた17日。船長の東恩納源太さん(36)は困り顔で話した。連日の暑さから海水温が高い日が続き、日に日に色が抜けているという。
対策として少し沖合に出るコースに変更して、ぎりぎり色を保っているサンゴを見せている。観光客の多くはサンゴの異変に気付いていないのが実情だ。現時点で客離れなどの目に見える影響は出ていないが、一抹の懸念もある。
石垣市の観光協会がきれいなサンゴを「売り」にしていることを指摘し、「観光客が期待して来島したものの、実際にはそうではない。現状では死にかけたサンゴを見せている。それさえも死滅して、見せるものがなくなったら、一体どうするのか」と嘆く。
「自然現象だからどうしようもない」。市内のダイビング業の男性(53)は話す。水深10メートルの深い所でも30度の水温があり、「ことごとく白化している」と指摘する。今年に入り台風が一度も来ていないことが背景にあるが、「襲来したら客がキャンセルする」と複雑な思いを語る。「来てほしくないけど来てもらわないと困るのが台風だ」
ネイチャーガイドらでつくる「わくわくサンゴ石垣島」の大堀則子代表(54)は、このまま台風が来ないと「深刻」とし、生態系に与える影響を危惧する。
サンゴは陸上の植物の役割を果たし、サンゴが作り出す粘液を小さな魚が食べ、これを大きな魚が食べることで食物連鎖の構造を維持している。「サンゴがなくなると海の生態系は影響を受ける。つまりは海の砂漠と化してしまう」と危機感を募らせた。