安倍元首相暗殺にいまだ残る謎 きょう「四十九日」 一部メディアで「宗教と政治」が強調され…動機や背後関係は置き去り 「消えた弾丸」問題も捜査難航

安倍晋三元首相の「四十九日」を25日、迎えた。世界的政治家が凶弾に倒れた事件は、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=の動機や背景も含め、極めて不可解だ。各国要人らも参列する「国葬(国葬儀)」は来月27日、東京・北の丸公園の日本武道館で行われるが、捜査当局は「謎」や「闇」を解明できるのか。

「容疑者から安倍氏の距離がこれほど近かったのかと実感した。二度と起こしてはならない」
内閣改造で新たに就任した谷公一国家公安委員長は22日、奈良市・近鉄大和西大寺駅北口前の銃撃現場で黙をささげ、報道陣にこう語った。
山上容疑者が供述で、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みを挙げたことで、一部メディアは「宗教と政治」の関係ばかり強調しており、動機や背後関係への深掘りは少ない。
谷氏は24日、中村格(いたる)警察庁長官とともに岸田文雄首相と面会し、経過報告した。「検証は大詰めを迎えている。速やかに結論を出して公表したい」と述べたが、奈良県警の事件捜査は難航している。
山上容疑者は「旧統一教会信者だった家族が多額の寄付をし、家庭が崩壊した」「安倍氏を襲えば旧統一教会に非難が集まる」などと供述したが、安倍氏側、旧統一教会側ともに深い関係性を否定している。
公安関係者は「山上容疑者の狙い通り、世論は『教団批判』一色だが、動機としては釈然としない。現時点で組織的背景は確認されていないが、国内外で存在感が強い世界的政治家が狙撃されただけに、国外の関与を含めて、徹底的な調査・捜査は当然だ」と語る。
現場で押収された手製銃は、長さ約40センチ、高さ約20センチ。6個の弾丸を同時発射する銃身を2本まとめた形状だ。山上容疑者は「ネットの情報などをもとに市販の材料で作製し、山中で試射を繰り返した」と供述する。約5メートルの距離から1度は狙いを外し、2度目で命中させた。
警察関係者は「発射した弾が広がる散弾銃のような仕組みで精度は低かったとみられる」「奈良県警が(現場に十数人の警察官を派遣しながら)これだけの接近を許したのは大失態だ」と語る。
「消えた弾丸」の問題もある。
安倍氏には銃弾2発が命中したとみられ、約1センチの弾丸1つが見つかったが、捜査関係者によると、もう1発が見つかっていない。
救命処置中に行方が分からなくなった可能性があり、奈良県警は事件5日後、現場検証で弾の捜索も行ったが発見できなかった。事件を立証する重要な物証が欠けてしまったかたちだ。
警察庁は、演説する安倍氏の背後を警戒する警護員がおらず、現場の連携も不十分で、山上容疑者に2発の発射を許した問題点などを検証している。ずさんな警備と不可解すぎる経緯が相まって、ネット上では共犯の存在を示唆する見解もある。真相解明が急務だ。