大阪府高槻市の会社員女性が昨年7月、自宅の浴槽で溺死していた事件で、府警は、女性との養子縁組届を偽造したとして起訴された無職高井凜被告(28)(川崎市高津区)について、殺人容疑などで逮捕状を取った。25日に再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。女性には受取人が高井被告の生命保険1億5000万円がかけられており、府警は保険金や財産目的で殺害した疑いが強まったと判断した。
女性は高井直子さん(当時54歳)。捜査関係者によると、高井被告は昨年7月22日、高槻市八幡町の直子さん宅の浴室で、水が張られた浴槽に直子さんを沈めて殺害するなどした疑い。
高井被告は当時、東京都内に住んでいたが、直子さん宅近くの防犯カメラには同日、高井被告と似た男が映っていたことが判明したという。
府警によると、直子さんが浴槽で死亡しているのが見つかったのは昨年7月26日。直子さんは一人暮らしで、訪ねてきた親族が発見した。司法解剖の結果、死因は不詳だったが、右手首に結束バンドが巻かれており、府警は事件と事故の両面で捜査を進めた。
遺体をさらに詳しく調べたところ、左手首にも圧迫されたような痕があったことがわかり、両手を縛られていた可能性が浮上。死因が溺死だった疑いが強いことも明らかになり、府警は今年2月、殺人容疑で捜査を始めたと発表した。
捜査関係者らによると、2人が知り合ったのは、高井被告が外資系の大手保険会社に勤務していた2018年11月~20年6月。この間に直子さんは死亡時の保険金が約1億円の生命保険に加入した。20年秋には保険代理店に転職していた高井被告の仲介で、新たに約5000万円の生命保険を契約したという。
昨年2月に高井被告を養子とする養子縁組を結んだ後、2社の保険金の受取人が高井被告に変更されていた。直子さんの死後、預貯金数千万円は高井被告に相続されたが、保険金は支払われていないという。
府警は7月20日、養子縁組届を偽造したとして有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕し、大阪地検が今月10日に起訴した。府警は同日、クレジットカードを他人に不正利用されたと偽ってカード会社から金を詐取したとして、詐欺容疑で再逮捕していた。高井被告は調べに対し、黙秘しているという。
女性の同級生「真相知りたい」
直子さんは女子大を卒業後、大手銀行に就職。その後はグループ会社で働いた。独身で、認知症を患った母親が数年前に施設に入所してからは、高槻市八幡町の木造2階建て住宅に1人で暮らしていた。
気さくな性格で、近年も同窓会に顔を出していた。高校の同級生だった女性(56)は「聞き上手で、よく相談に乗ってくれた」と振り返り、「どういう経緯で保険外交員と養子縁組したのか、真相を知りたい」と話す。
元同級生の男性(56)は、直子さんが老後の生活のことを心配していたのを覚えている。男性は「資産運用について相談されたことがある。身寄りがなく、孤独だったのだろうか」と語った。