東京・明治神宮外苑のイベント会場で2016年11月、木製オブジェが燃え、遊んでいた幼稚園の男児(当時5歳)が死亡した火災で、重過失致死傷罪に問われた日本工業大の元男子学生2人=当時未成年、現在は24歳と25歳=の控訴審で、東京高裁は13日、ともに禁錮10月、執行猶予3年とした1審・東京地裁判決(21年7月)を破棄し、審理を東京簡裁に移送する判決を言い渡した。大善文男裁判長は2人の過失は重大とは言えず、法定刑がより軽い過失致死傷罪にとどまると判断した。
重過失致死傷罪の法定刑の上限は5年以下の懲役または禁錮だが、過失致死傷罪は罰金50万円以下。罰金刑が対象の刑事裁判は簡裁が管轄となるため、検察と被告側の双方が上告しなければ、審理は今後、東京簡裁でやり直されることになる。
判決によると、同大工学部建築学科の1年生だった2人は大学の有志らとともに、木製のジャングルジムを大量の木くずで装飾したオブジェ(高さ最大約2・7メートル、幅最大約3・8メートル)をイベントに展示した。オブジェの監視役だった2人は16年11月6日午後5時ごろ、投光器をオブジェ内部で点灯させたまま放置。約15分後に投光器の白熱電球に接触した木くずから発火し、オブジェは全焼した。中にいた男児は焼死し、助けようとした父親は顔などに3年近い治療期間を要する重度のやけどを負った。
元学生2人は控訴審で、1審に続き「火災の発生は予見できなかった」などと無罪を主張したが、高裁は2人が投光器の設置作業で白熱電球の温かさを体感していたことから「可燃物が接触すれば発火する程度の熱を認識していた」とし、火災の予見は可能だったと指摘した。
一方で、2人は火災当日に初めて監視役を任された▽投光器の危険性を事前に説明されなかった▽作品展示・監視全体の責任者ではなかった――などの事情を挙げ、重過失致死傷罪の成立に必要な「わずかな注意を払えば、火災を予見できた」と認定することは困難と判断した。
元学生側の弁護人の一人は「重過失を否定した点は評価できる。上告するかは判決文を精査の上、検討する」と述べた。男児の両親は「遺族にとって到底納得できない結果。1審で時間をかけて審理された重過失が、2審の短い期間で覆され、驚きとむなしさを感じている。元気だった息子が返ってくることはない。被告らには改めて、過ちを認め、事故に対して真摯(しんし)に向き合ってほしいと願っている」とのコメントを出した。【志村一也】