支持率下落歯止めかからず、各社世論調査10ポイント超減も…自民幹部「菅政権末期のよう」

政府・与党は、岸田内閣の支持率の下落傾向に歯止めがかからず、危機感を強めている。「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)を巡る問題が収束する気配はなく、岸田首相は外交や経済対策に注力することで局面を打開したい考えだ。
外交・経済 立て直し図る

「台風14号の被害状況を確認し、復旧に向けた対応に万全を期すため、国連総会への出発は延期した」
首相は19日夕、訪米日程を変更した理由について、首相官邸で記者団にこう説明した。この日は、午前中に谷防災相を首相公邸に呼んで被害状況の報告を受けた後、夕方には関係閣僚会議に臨み、人命第一で災害応急対策に取り組むよう重ねて指示した。
首相が危機管理対応に「細心の注意」(首相周辺)を払ったのは、政権の足元が揺らいでいるためだ。
報道各社での世論調査では、内閣支持率の下落傾向が鮮明になっている。
報道各社が18日にかけて行った世論調査では、毎日新聞では、支持率が前回比7ポイント減の29%となり、2021年10月に岸田内閣が発足してから初めて30%を割り込んだ。共同通信は同13・9ポイント減の40・2%、日本経済新聞も同14ポイント減の43%と大幅に下落した。
国民が厳しい目を向ける最大の要因とみられるのが旧統一教会を巡る問題だ。
旧統一教会との接点について、自民党は8日に党所属国会議員379人のうち179人が接点を持ったとする調査結果を公表した。しかし、調査結果に漏れや誤りが次々と見つかり、首相の側近である木原誠二官房副長官も、関連団体が主催したパネルディスカッションに参加していたことを追加で発表した。
安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)についても、説明不足だと野党の批判にさらされており、自民党幹部は「菅政権末期のような状況だ。ここで支持率低下に歯止めをかけなければ、同じ


(てつ)を踏みかねない」と語る。
こうした状況に首相は13日の党役員会で、「政局より政策という当たり前のことを具体的に示していきたい」と語った。首相が率いる岸田派は党内第4派閥にすぎない。首相は12日昼に森山裕選挙対策委員長、夜には遠藤総務会長と会食。14日に党内最大派閥・安倍派の萩生田政調会長、16日に第2派閥・茂木派の関口昌一参院議員会長と夕食を取りながら意見交換するなど党内の結束維持を図った。
首相は旧統一教会を巡る問題が尾を引く中、外交と経済で実績を積み上げ、態勢の立て直しを図ろうとしている。安倍政権で4年7か月にわたって外相を務め、外交分野に精通しているとの自負がある。
20日からの訪米では、国連総会の一般討論演説や各国首脳との会談で国連の改革や機能強化を訴え、賛同を呼びかける。27日の安倍元首相の国葬(国葬儀)に合わせた弔問外交も控えており、「岸田外交」をアピールしたい考えだ。
経済対策では、物価やエネルギー価格の高騰などを受け、10月に総合経済対策を策定する方針だ。党内からは「30兆円を超える規模」(萩生田氏)などと注文がついており、首相はこうした声に配慮しながらの政権運営となりそうだ。