犬猫の殺処分 沖縄はピーク時の100分の1に 激減した理由は? きょうから愛護週間

2021年度に沖縄県内で殺処分された犬と猫の数は251匹(速報値)で過去最少だったことが19日、分かった。ピークだった1996年度の2万4257匹に比べると約99%減。行政機関による収容期間の延長や、犬猫の譲渡数の増加、動物愛護管理法の改正などが要因とみられる。20~26日は動物愛護週間。
(社会部・東江郁香)
県内では県動物愛護管理センター(南城市)のほか、那覇市と八重山保健所、宮古保健所が迷い犬や猫を捕獲・収容している。
21年度にこれらの機関に収容されたのは犬792匹、猫545匹の計1337匹。うち殺処分されたのは犬28匹、猫223匹だった。
殺処分件数は右肩下がりで、12年度の6604匹と比べても26分の1に激減している。狂犬病予防法では、捕獲した動物の飼い主が2日間名乗り出ない場合は処分できると規定されている。動物愛護管理センターも以前は数日後に殺処分していたが、現在はできる限り抑制するために最長で2カ月収容しているという。
さらに10月3日には、保護した犬猫の譲渡を推進する「譲渡推進棟」を同センター隣に開設する予定で、収容期間は最大半年間まで延びる見通しだ。
動物愛護団体による引き取りも増えている。21年度に同センターが譲渡した犬猫521匹のうち、7割を超える382匹をボランティア団体が引き取った。けがの治療やしつけをして、新たな飼い主が見つかるよう支援する。
県はペットを生涯飼い続ける「終生飼養」や室内飼いを呼びかけている。さらに、野良猫を捕獲(Trap)して不妊手術(Neuter)した後に元の場所に戻す(Return)「TNR活動」の推進に取り組む。動物愛護管理センターの森河隆史所長は「処分される犬猫の数は減っているが、ゼロを目指したい」と話した。
[ことば]
動物愛護管理法 動物と共生する社会の実現を目指し、適正な取り扱い方法などを罰則付きで定めた法律。1973年の制定後、これまでに4回改正された。99年には飼い主責任の徹底が追加され、2005年には動物取扱業が登録制に。12年には行政機関などが引き取った犬猫の返還や譲渡の努力規定が設けられた。19年には動物殺傷の罰則が強化され、懲役の上限は5年に、罰金の上限は500万円にそれぞれ引き上げ。飼い主には繁殖制限を、販売業者には所有者情報を登録したマイクロチップを犬猫に装着するよう義務付ける内容も新たに盛り込まれた。