首相「厳しい意見聞く姿勢こそ、岸田文雄の原点だ」…所信表明で物価対策や賃上げに全力表明

第210臨時国会が3日、召集された。岸田首相は3日午後、衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、物価高対策や賃上げに全力を挙げる考えを表明した。政権への批判を意識し、「国民からの厳しい声」に謙虚に向き合う姿勢も強調した。
首相は演説で、経済再生を最優先課題に挙げ、〈1〉物価高・円安への対応〈2〉構造的な賃上げ〈3〉成長のための投資と改革――の三つに重点を置く方針を示した。
物価高対応では、値上がりが想定される電気料金について「前例のない、思い切った対策を講じる」と宣言した。円安の利点を生かし、新型コロナウイルス禍前を上回る訪日外国人旅行消費額年間5兆円超などの目標を掲げた。
賃上げについては、年功序列型の職能給から職務を明確にして専門性や能力を重視する「ジョブ型」の人事制度への移行など、具体策に関する指針を2023年6月までにまとめる考えを示した。デジタルなど成長分野への労働移動を促すため、個人の学び直し支援に5年間で1兆円を投じる計画も打ち出した。
経済成長に向け、スタートアップ(新興企業)など4分野に投資を集中させると表明した。新型コロナ対策では、オミクロン株に対応する新ワクチンの接種の加速や司令塔機能の強化に取り組む考えを示した。
外交・安全保障では、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、防衛費増額や国家安全保障戦略など3文書の改定、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有について、「国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速する」と訴えた。
日中関係については、「建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していく」と述べ、対話を重ねる姿勢を示した。衆院小選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案は、「今国会に速やかに提出する」と述べた。
自らの政治姿勢にも言及した。安倍晋三・元首相の国葬や「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係を巡る批判について、「

真摯
(しんし)に、謙虚に、丁寧に向き合う。厳しい意見を聞く姿勢こそ、政治家岸田文雄の原点だ」と語った。