出雲大社(島根県)の布教を担う宗教法人「出雲大社教」に名誉を毀損(きそん)されたとして、独立した分社が損害賠償などを求めた訴訟の判決が14日、水戸地裁であり、阿部雅彦裁判長は110万円の支払いを出雲大社教に命じた。
訴えたのは、茨城県笠間市の「常陸国出雲大社」。判決によると、1954年に出雲大社教の分社として設立されたが、運営を巡る対立から2014年に独立した。独立後も、出雲大社と同じ大国主神(おおくにぬしのかみ)を祭っている。
出雲大社教は15年以降、ホームページで原告を黒枠で囲み名指しし「全く関係の無い団体」「注意! 紛らわしい団体」などと掲示。原告は、2766万円の賠償と記載の削除などを求めていた。
出雲大社教は「無関係であると注意喚起したに過ぎない」などと名誉毀損を否定したが、判決は「(関係解消の)経緯を説明せずに原告を黒枠囲みした表示は、原告が名称を詐称しているという意味内容を含み、社会的評価を低下させる」と判断。記載の削除も命じた。
判決を受け、常陸国出雲大社代表の高橋正宣宮司は「判決の通り、文言を削除していただきたい」と求めた。出雲大社教の代理人弁護士は「判決文が届いていないのでコメントできない」としている。【長屋美乃里】