鹿児島の動物園、コアラに肺炎流行か 3頭死に、2頭を隔離

全国で初めてコアラの飼育を始めたことで知られる鹿児島市平川動物公園で、9月末からコアラ3頭が立て続けに死んだ。2、3頭目の死因は肺炎。「新型コロナウイルスか」と思いきやそうではなく、犬や豚では普通に見られる細菌性の肺炎という。残る17頭のうち他に4頭、鼻水などの症状を呈した個体がおり、うち症状が継続している1頭と、最近オーストラリアから来た1頭を隔離室に入れ、感染が広がらないようにしている。
9月29日に最初に死んだタイチ(雄10歳)は当初、がんが死因とされたが、9月22日から鼻水症状を呈しており、園は細菌に感染したとみている。10月4日に死んだ2頭目はユイ(雌4歳)で、同じく9月22日から同じ症状があった。3頭目のジェイン(雌7歳)は9月30日から体調不良となり、隔離室で点滴治療されていたが、10月14日午前に死んだ。
平川動物公園では2008年、今回と同じ細菌による肺炎で1頭が死んだが、それ以来という。桜井普子(ひろこ)・飼育展示課長によると、菌は常在菌で、ヒトには感染しないとみられる。また、新型コロナの感染はコアラなど有袋類では確認されていないという。桜井課長は「感染がこれ以上広がらないよう、隔離すべきは隔離し、万全を期したい」と話す。
平川動物公園は1972年10月14日に開園。これまでに延べ約2780万人が来園した。84年に多摩動物公園(東京都日野市)、東山動植物園(名古屋市)と並んで日本で初めてコアラを飼育した園としても知られ、現在の飼育数17頭は国内最多。今月8日には開園50周年の記念式典が行われ、オーストラリアから9月21日に来たばかりの新入りコアラ「アーチャー」(雄3歳)もお披露目された。アーチャーには症状はないが、一般公開予定は未定という。【梅山崇】