参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の山口県民葬が15日、同県下関市の海峡メッセ下関で営まれた。喪主を務めた安倍氏の妻昭恵さんが遺族代表としてあいさつに立ち「本当にいなくなったんだとさみしさが増してきている」と現在の心境を吐露した。昭恵さんは9月27日の国葬ではあいさつしておらず、銃撃事件後の公の場では初の発言となった。
県民葬には林芳正外相や西村康稔経済産業相、松野博一官房長官らも参列。午後2時過ぎに始まった式典では、黙とうに続いて安倍氏の足跡をまとめた映像が約4分間流れた。その後、葬儀委員長の村岡嗣政知事や細田博之衆院議長らが追悼の辞を述べた。
最後に喪主の昭恵さんがあいさつに立った。昭恵さんは、そばで見てきた政治家としての安倍氏の姿を振り返り「主人は山口県が本当に大好きだった。コロナが落ち着いたら2人で帰って、皆さんと語り合いたいねと話していた。多くの人に支えられた豊かな67年の人生だったと思う」などと述べ、感謝を伝えた。
会場前の献花台に花を手向けて手を合わせる人がいる一方、県民葬に反対する抗議集会も県内各地であった。国葬と同様に安倍氏の地元でも開催の賛否が分かれる形となった。【大坪菜々美、山口桂子】