覚醒剤取締法違反(使用、所持)の罪で起訴されたアイドルグループ「KAT―TUN」の元メンバー・田中聖被告の第2回公判が27日、千葉地裁松戸支部で開かれた。
最前列の傍聴席で両親が険しい顔で見守る中、田中被告は黒スーツ姿で出廷した。背筋を伸ばし、はっきりした口調で被告人質問に応じた。
弁護士から、6月に使用した薬物について聞かれると、「今年2月に手に入れました」と明かした。
田中被告は、名古屋地裁で覚醒剤取締法違反(使用、所持)などの罪で懲役1年8月(求刑2年)、執行猶予3年の判決を6月20日に受けていた。9月に行われた初公判検察の冒頭陳述によると、覚醒剤使用の衝動を抑えきれなくなり、判決の2日後から吸引していた“スピード再犯”だった。
今回の公判で検察側から、名古屋での判決時にはすでに覚醒剤を所持していたことについて指摘されると、田中被告は「ウォークインクローゼットの中にある箱の中に覚醒剤があった。(1度目の逮捕で行われた)自宅の捜索で押収されていると思っていた。(取り調べの時には)パニックになっており、箱の存在を忘れていた。自分の意識の甘さが今回の逮捕を招いた」と話した。
検察側からは、6月の逮捕時と、7月以降の取り調べにおける証言の食い違いも指摘された。検察によると、逮捕時は所持していた覚醒剤について、ファンを装う人物から密売人の連絡先を紙でもらい、連絡を取ったとしていたが、7月以降は、今年2月から所持していた薬物を使ったと話し、異なる証言をしていた。
証言の食い違いについて、田中被告は「自宅にあると家族に迷惑がかかると思い、を言ってしまった。はつじつまが合うように留置所で考えた。弁護士と7月1日に面会し、そこで真実を全て話した方が良いとアドバイスを受けて、本当のことを話しました」と説明した。
現在、田中被告の治療は千葉県内の精神医療施設で、「条件反射制御療法」が行われているという。5段階のステージがあり、田中被告は第3ステージまで治療が進んでいるという。
弁護側から今の状況について聞かれると、田中被告は「前回逮捕されたときは考えが甘く、すぐに薬物をやめられると思っていた。それまでの治療は先生と話すだけで、治療という治療はしていなかった。今の治療は使用欲求も抑えられており、一生続けて行きたい。(薬物依存症は)完治できると思う」と話した。検察官から刑務所に入っても治療は続けて行きたいか問われると、「できる治療は続けたい。出所後も治療を続けたい」と即答した。
検察によると、田中被告が大麻を5年ほど前から、覚醒剤は約1年前から月に5~6回ほど常用しており、逮捕当日の6月29日は同居家族に見つからないよう持ち出したとの供述を明らかにした。逮捕前日も千葉県内の自宅で薬物を使用していた。
田中被告は6月29日午後10時ごろ、JR柏駅付近で覚醒剤を所持した疑いで現行犯逮捕された。検察側によると、田中被告は薬物依存者の自助グループに会うために外出していたという。
田中被告は9月2日、保釈保証金600万円を納付し、勾留先の千葉県警柏署から保釈された。次回公判は11月29日を予定している。