なぜ被害者は命を奪われたのか? 被疑者死亡で全容解明は困難に…資産家女性殺害事件 過去にも痛恨の幕引き

今年9月1日、ある容疑者の自殺報道が日本中を騒がせた。同日早朝、勾留先である大阪府警福島署の留置場にて、心肺停止状態で発見された高井凛容疑者(28=当時)。2021年7月に大阪府高槻市で会社員の高井直子さん(当時54歳)が、自宅の浴槽で溺死した事件に関わりがあるとされ、殺人容疑などで再逮捕されたばかりだった。 容疑者(被疑者)、被告人が亡くなることで事件の全容解明は困難になってしまうが、残念なことに過去にも繰り返されてきた。高槻資産家女性殺人事件、歌舞伎町の9歳男児転落死事件などを振り返る。(ライター・高橋ユキ) ●〈高槻資産家女性殺人事件〉事件関与を認める発言も 亡くなった高井さんには生前、総額1億5000万円の生命保険がかけられており、この受取人は、高井さんと養子縁組していた凛容疑者となっていた。また浴槽で発見された高井さんの遺体を司法解剖した結果、両手首に結束バンドの跡があり、自殺や事故ではなく他殺の疑いが強いことも分かっていた。 疑惑の養子として報じられてきた凛容疑者は今年7月、高井さんとの養子縁組の際に虚偽の届け出をした疑いにより有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕されていた。さらに防犯カメラ映像などの証拠により、高井さんの死亡にも凛容疑者が関わったとして大阪府警は8月25日に殺人容疑で凛容疑者を再逮捕した。 勾留先の福島署で凛容疑者が自殺を図ったのは、その1週間後のことだった。凛容疑者はひものようなもので首を吊っている状態で早朝に発見され、緊急搬送されたが、すでに心肺停止の状態にあり、病院で治療が続いていたが、同日夜に死亡が発表された。 のちに、凛容疑者が勾留中に、着ていたTシャツの裾をちぎって集めていたことや、これを用いて自殺を図ったこと、さらに自殺3日目には「先に逝く」などと書かれた家族宛の手紙が発見されていたことなども明らかにされている。福島署はこの手紙の存在を把握したのちに巡回の回数を増やしたというが、府警本部には報告しておらず、監視レベルを最高度の「特別要注意被留置者」に指定するといった措置をとっていなかった。 生前の凛容疑者は黙秘を続けていたというが、自殺直前には事件への関与を認める発言をしていたことも明らかになっている。 ●〈歌舞伎町で9歳男児転落死事件〉母が留置施設で自殺 凛容疑者だけでなく、この約1ヶ月前には東京の警察署の留置施設でも自殺が発生している。警視庁は7月29日、東京湾岸署の留置施設内にて、勾留中だった女(47=同)が死亡したことを発表した。女の口にはちり紙が詰まっており、自殺を図り窒息死したとみられている。同日朝に留置担当が起床時間の声かけをしたが反応がなく、確認したところ呼吸をしていなかったため病院に搬送されたが約1時間後に死亡した。
今年9月1日、ある容疑者の自殺報道が日本中を騒がせた。同日早朝、勾留先である大阪府警福島署の留置場にて、心肺停止状態で発見された高井凛容疑者(28=当時)。2021年7月に大阪府高槻市で会社員の高井直子さん(当時54歳)が、自宅の浴槽で溺死した事件に関わりがあるとされ、殺人容疑などで再逮捕されたばかりだった。
容疑者(被疑者)、被告人が亡くなることで事件の全容解明は困難になってしまうが、残念なことに過去にも繰り返されてきた。高槻資産家女性殺人事件、歌舞伎町の9歳男児転落死事件などを振り返る。(ライター・高橋ユキ)
亡くなった高井さんには生前、総額1億5000万円の生命保険がかけられており、この受取人は、高井さんと養子縁組していた凛容疑者となっていた。また浴槽で発見された高井さんの遺体を司法解剖した結果、両手首に結束バンドの跡があり、自殺や事故ではなく他殺の疑いが強いことも分かっていた。
疑惑の養子として報じられてきた凛容疑者は今年7月、高井さんとの養子縁組の際に虚偽の届け出をした疑いにより有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕されていた。さらに防犯カメラ映像などの証拠により、高井さんの死亡にも凛容疑者が関わったとして大阪府警は8月25日に殺人容疑で凛容疑者を再逮捕した。
勾留先の福島署で凛容疑者が自殺を図ったのは、その1週間後のことだった。凛容疑者はひものようなもので首を吊っている状態で早朝に発見され、緊急搬送されたが、すでに心肺停止の状態にあり、病院で治療が続いていたが、同日夜に死亡が発表された。
のちに、凛容疑者が勾留中に、着ていたTシャツの裾をちぎって集めていたことや、これを用いて自殺を図ったこと、さらに自殺3日目には「先に逝く」などと書かれた家族宛の手紙が発見されていたことなども明らかにされている。福島署はこの手紙の存在を把握したのちに巡回の回数を増やしたというが、府警本部には報告しておらず、監視レベルを最高度の「特別要注意被留置者」に指定するといった措置をとっていなかった。 生前の凛容疑者は黙秘を続けていたというが、自殺直前には事件への関与を認める発言をしていたことも明らかになっている。
凛容疑者だけでなく、この約1ヶ月前には東京の警察署の留置施設でも自殺が発生している。警視庁は7月29日、東京湾岸署の留置施設内にて、勾留中だった女(47=同)が死亡したことを発表した。女の口にはちり紙が詰まっており、自殺を図り窒息死したとみられている。同日朝に留置担当が起床時間の声かけをしたが反応がなく、確認したところ呼吸をしていなかったため病院に搬送されたが約1時間後に死亡した。