堺市で2019年5月、生後7カ月だった長女と入浴中に首を圧迫して死亡させたとして傷害致死罪に問われた父親の篠原遼被告(27)の裁判員裁判で、大阪地裁は2日、無罪(求刑・懲役5年)を言い渡した。西川篤志裁判長は死因が病死だった可能性があり、「被告の暴行による窒息死と認定できない」と述べた。
被告は当時住んでいた堺市北区の自宅浴室で19年5月19日、長女の首を手で圧迫して窒息死させたとして起訴された。公判の争点は、司法解剖で導かれた死因の評価だった。
判決は弁護側の証人だった医師の見解を踏まえると、長女には突然死との関連が指摘されている二つの遺伝子変異があり、致死性不整脈などで死亡した可能性が否定できないと指摘。窒息死を裏付ける積極的な所見もなく、「医学的事実から死因を窒息死と即断できない」とした。
検察側によると、被告は長女の死亡後、「入浴中に首元をつまむなどしていたら、子供が息をしていなかった」と友人に話していたという。
判決は検察側が被告の関与を示す証拠とした友人証言について、「記憶は断片的で、発言の具体的な経緯も明らかではない」と否定。日常的に育児に関わり、長女を慈しんでいたとする元妻の証言にも触れ、「暴行の動機は全くうかがわれず、有罪認定に足りる立証がされていない」と結論付けた。
被告は弁護人を通じ、「3年間長くつらい日々だった。大事な娘を一生かけて家族で供養したい」とのコメントを発表。大阪地検の小弓場文彦次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」としている。【安元久美子】