静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で園児に虐待を繰り返していたとして、静岡県警は女性保育士3人を暴行の疑いで逮捕した。市が問題を公表してから、わずか4日という異例のスピード逮捕。同保育園をめぐっては園長が虐待行為を口外しないようにすべての保育士に誓約書を書かせており、証拠隠滅や口裏合わせを懸念したとみられる。虐待内容のひどさには日本中の子を持つ親が怒っている。
逮捕されたのは三浦沙知容疑者(30)、小松香織容疑者(38)、服部理江容疑者(39)の3人。事件は今年8月、保育園の内部事情を知る人物から市に情報提供があり発覚した。
市は桜井利彦園長に事実関係の調査を指示し、9月に虐待に関与した3人の女性保育士を処分して3人とも退職。その後、10月になって桜井園長が虐待行為を口外しないようにとすべての保育士に誓約書を書かせていた。
これまで市は事態を把握しながら事件を公表していなかったが、11月29日に報道で明らかになると一転、翌30日に記者会見を開いて村田悠市長が虐待行為を非難。誓約書を書かせた桜井園長を犯人隠避容疑で刑事告発する意向を示した。
裾野市が明らかにした3人の女性保育士の問題行為は15事例以上ある。どれも幼い子供の面倒を見る保育士として、絶対にあってはならない行為ばかりで、①カッターナイフを示して脅す、②足をつかんで宙づりにする、③頬をたたいて無理やり泣かせようとするといった体罰のほか、「ブス」などの暴言もあった。
元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は、暴行容疑で逮捕された3人の女性保育士が起訴され有罪になった場合の量刑の見通しについてこう話す。
「暴行罪の最高刑は2年の懲役ですが、保育士による園児虐待のケースにおいて通常は前科がなければ1年~1年6か月の懲役に執行猶予2~3年つくのが一般的です。今回は複数の虐待が指摘されているので、1人で複数の暴行に関わったことが立証されれば、併合罪で最大3年の懲役になる可能性はあります」
園によれば虐待は今年6~8月にかけて継続的に行われていたといい、その内容も極めて悪質。子供を預ける親にしたらどんな量刑が下ろうとも決して許せないことだが、それにしても短すぎるというのが一般的な受け止めだろう。
一方、市が犯人隠避容疑で刑事告発する意向の桜井園長について、横粂氏は「世の中の常識論では悪に該当しても、法的に犯人隠避に当たるかどうかは別」としてこう解説する。
「事件を口外しないよう誓約書を書かせたことが、犯人隠避罪にあたるかは難しいところ。暴行罪で逮捕された3人をかばおうとしたよりは、むしろ組織としての体面を守ろうと指示したという弁明も成立する。また、これまでの犯人隠避罪の判例的にも、捜査機関をかく乱・混乱させるために行った行為に対してがほとんどです」
実際、桜井園長は市の調査指示に対して9月の段階で虐待の事実を認めて3人の女性保育士に処分を下しており、積極的にかばおうとした様子は見られないのも事実だ。ただし、桜井園長が刑事罰に問われなかったとしても、民事上、保育園の管理監督者として損害賠償責任は残るという。
いずれにしても、厳しく事件について追及し、全国でも類似の事件が起こらないよう対策を徹底してもらいたいものだ。