宗教を背景とする子どもへの虐待を巡り、新たな法整備や対応指針は必要か、それとも現行の法令で対応可能か――。児童相談所を設置する全国77自治体へのアンケート調査で、毎日新聞に寄せられた主な意見を紹介する。
【青森県】法整備「どちらとも言えない」
宗教の問題に特別な対応をするというより、子どもの状態などから判断し、子どもの権利を守るよう対応していくものと考える。2世の居場所支援(集いの場等)があるとよいと思われる。
【宮城県】対応指針「必要ない」
児童虐待や不適切な養育に関しては、保護者の宗教への信仰に関わらず、児童福祉法や児童相談所運営指針などの規定で対応できる。
【茨城県】法整備「どちらとも言えない」
現行の法制度で対応可能と考えるが、国において全国の事例や対応状況等を分析・検証の上、判断する内容と考える。
【東京都世田谷区】法整備「必要」
親の信仰する宗教によって、子が深刻な人権侵害を受けているようであれば、児童虐待防止法を見直すなどの検討が必要であると考える。また、現場の意見として、法律を見直す際には、どのような宗教的行為が虐待に該当するかなどを明確にすべきだと考える。
【神奈川県】法整備「どちらとも言えない」
成人し、子ども自身が判断して選択できるようになるまで、信仰や宗教を強制されない、それが家族であってもできないと(法律で)明確に示すことができるのではないか。
【横浜市】法整備「必要」
信仰の自由により児童相談所の介入が難しい現状があるので、児童虐待防止法に具体的な判断基準や事例を盛り込んでほしい。
【相模原市】法整備「どちらとも言えない」
児童がマインドコントロールされているような場合、どのような対応が取れるのか不安がある。
【新潟市】対応指針や法整備「必要」
児童虐待や不適切な養育の背景に宗教の影響があったとしても、信仰に対して行政がどこまで介入できるかの判断が難しいことが多い。信仰が影響していると考えられる場合の対応や方針を定めたガイドライン等が必要と考える。また、被害児童を救済できる仕組みが必要で、そのための法・体制整備が求められる。
【長野県】対応指針「必要」
信仰について理解を深める必要がある。
【岐阜県】法整備「どちらとも言えない」
現行法で対応可能ではあるが、親の信仰の影響と考えられる虐待が疑われる養育について虐待か否かの判断が難しい場合、法整備により、行政の介入の目安が明確になるだけでなく、親権者や関係機関に、より理解を得られる場合もあると考えられる。
【愛知県】対応指針「必要」
児童虐待と宗教の戒律の線引きが曖昧な中、どう対応していけばよいのか。宗教のことにどこまで配慮し、どこまでは配慮できない、及び看過できないのかラインがあると良い。また、医療や食事などの宗教的な考えと、適切な養育に差があった場合、子どもの訴えのみでは差が埋まらない可能性がある。どのように対応していけばよいのかなど、ガイドライン等に定められていると一律した対応ができる。
【三重県】法整備「必要」
児童虐待の定義には含まれない、例えば多額の献金により生活が困窮し、子どもが将来に希望を見いだせないといった状況に陥ることがないよう被害者救済制度を整備する必要性を感じる。
【兵庫県明石市】対応指針や法整備「必要ない」
現行法の解釈で、児童の思想・良心の自由を不当に侵害するような保護者の宗教観の押しつけは、児童虐待に該当するという判断を行うことができる。
【和歌山県】法整備「どちらとも言えない」
法整備されると現場対応はしやすくなるが、信教の自由との兼ね合いによる調整は必要。
【鳥取県】対応指針「必要」
信教の自由との兼ね合いで現場が介入に躊躇(ちゅうちょ)することも想定されるので、一定の考え方等を示した指針があれば良い。
【大分県】対応指針や法整備「必要」
児童虐待防止法に定める虐待が疑われる場合でも、信教の自由にどこまで踏み込めるのかについて一定の解釈が示されている方が児童相談所としては対応しやすいと思われる。
【鹿児島県】法整備「必要ない」
現行の法・体制で対応可能と考えるため。