海上自衛隊の1等海佐が安全保障に関わる「特定秘密」を漏えいした問題で、防衛省は26日、秘密を漏らした海自幹部学校の井上高志・1佐(54)を懲戒免職処分とした。自衛隊の捜査機関である警務隊は26日、井上1佐を特定秘密保護法と自衛隊法違反容疑で横浜地検に書類送検した。特定秘密保護法違反の摘発は初めて。
ほかに、注意義務違反があったとして幹部学校の50歳代の男性1佐(元自衛艦隊司令部情報主任幕僚)を停職5日の懲戒処分とした。指揮監督義務に違反したとして、それぞれ当時の自衛艦隊司令官は減給6分の1(2か月)、海上幕僚長は戒告に相当するとした。2人はすでに退官しているが、同司令官には減給相当額の自主返納を要請した。
同省によると、井上1佐は、情報業務群(現・艦隊情報群)司令だった2020年3月19日、神奈川県横須賀市の庁舎で、元海将で自衛艦隊司令官も務めた男性OBに、安全保障環境の説明を口頭で実施。その際に、日本周辺の情勢に関して収集した特定秘密の情報を伝えた。このほかにも、自衛隊の運用に関する秘密情報を漏らした。
OBは「講演する機会が多いので情報を更新したい」として、部下だった井上1佐に説明を依頼。秘密漏えいまでは求めなかったが、井上1佐はOBを畏怖していたといい、「部外者では知り得ない情報を説明する必要がある」と判断した。
OBが特定秘密の内容を講演で話したり、著作物に書いたりした事実は確認されなかった。
当時の自衛艦隊司令官らは、井上1佐に対し、OBに説明するよう指示していた。しかし、情報主任幕僚は「公開情報の範囲で説明するように」との司令官の指示を井上1佐に伝えなかった。司令官は井上1佐による説明の結果を確認しなかった。
浜田防衛相は26日、同様の事案が他にないか調べる大臣指示を出した。また、井野俊郎副大臣をトップとする委員会を設置し、年度内に再発防止策を講じることを決めた。酒井良・海上幕僚長は26日の臨時記者会見で、「防衛省・自衛隊に対する国民の負託を裏切る行為。深くおわび申し上げる」と謝罪した。