たびたび議論になる死刑制度。廃止や執行停止などに踏み切る国が増える中、日本は死刑を存置し、執行し続けている。 2022年は死刑をめぐり、葉梨康弘前法相の失言が批判を呼んだ。報道によると、「だいたい法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職」などと発言したという。 葉梨前法相は「死刑のはんこ」を1度も押すことなく、辞任する結果となった。しかし、2022年には古川禎久元法相の命令によって、加藤智大元死刑囚(39歳)の刑が執行されている。 今年の死刑は1件で終わるとみられる。刑事収容者施設法では、12月29日から31日は死刑を執行しないとされている。今年の死刑執行を振り返る。 ●再審請求中だった加藤元死刑囚 刑が執行された加藤元死刑囚は、2008年6月8日に東京・秋葉原で無差別に7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせたとして、殺人などの罪で死刑が確定していた。 事件は、買い物客などでにぎわう休日の歩行者天国で起きた。加藤元死刑囚は、トラックで歩行者天国に突っ込み、3人をはねて殺害し、2人にけがをさせた。その後、トラックを降り、ダガーナイフで通行人など4人を刺殺し、8人に重軽傷を負わせた後、現行犯逮捕された。裁判では、インターネット上で嫌がらせを受け、怒りを覚えたことを動機のひとつとして語ったとされている。 一審(東京地裁)・二審(東京高裁)ともに、言い渡されたのは死刑判決。最高裁もこれを支持し、2015年2月に刑が確定した。 加藤元死刑囚は、裁判のやり直しを求める再審請求をおこなっていた。しかし、第二次再審請求中の2022年7月26日に刑が執行され、東京拘置所で39年の生涯を終えた。執行命令を出した古川元法相は臨時会見の概要で「慎重な上にも慎重な検討を加えた上で、死刑の執行を命令した」と説明している。 加藤元死刑囚の刑が執行された後、日弁連や各弁護士会、NGO「アムネスティ・インターナショナル」などから抗議の声明が公表された。古川元法相は、死刑について、次のように見解を示していた。 「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人や強盗殺人などの凶悪犯罪が、いまだ後を絶たない状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないのであって、死刑を廃止することは適当ではないと考えています」 (2022年7月26日の法務大臣臨時会見の概要より) ●2020年の死刑執行数はゼロ、2021年は3件で話題に
たびたび議論になる死刑制度。廃止や執行停止などに踏み切る国が増える中、日本は死刑を存置し、執行し続けている。
2022年は死刑をめぐり、葉梨康弘前法相の失言が批判を呼んだ。報道によると、「だいたい法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職」などと発言したという。
葉梨前法相は「死刑のはんこ」を1度も押すことなく、辞任する結果となった。しかし、2022年には古川禎久元法相の命令によって、加藤智大元死刑囚(39歳)の刑が執行されている。
今年の死刑は1件で終わるとみられる。刑事収容者施設法では、12月29日から31日は死刑を執行しないとされている。今年の死刑執行を振り返る。
刑が執行された加藤元死刑囚は、2008年6月8日に東京・秋葉原で無差別に7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせたとして、殺人などの罪で死刑が確定していた。
事件は、買い物客などでにぎわう休日の歩行者天国で起きた。加藤元死刑囚は、トラックで歩行者天国に突っ込み、3人をはねて殺害し、2人にけがをさせた。その後、トラックを降り、ダガーナイフで通行人など4人を刺殺し、8人に重軽傷を負わせた後、現行犯逮捕された。裁判では、インターネット上で嫌がらせを受け、怒りを覚えたことを動機のひとつとして語ったとされている。
一審(東京地裁)・二審(東京高裁)ともに、言い渡されたのは死刑判決。最高裁もこれを支持し、2015年2月に刑が確定した。
加藤元死刑囚は、裁判のやり直しを求める再審請求をおこなっていた。しかし、第二次再審請求中の2022年7月26日に刑が執行され、東京拘置所で39年の生涯を終えた。執行命令を出した古川元法相は臨時会見の概要で「慎重な上にも慎重な検討を加えた上で、死刑の執行を命令した」と説明している。
加藤元死刑囚の刑が執行された後、日弁連や各弁護士会、NGO「アムネスティ・インターナショナル」などから抗議の声明が公表された。古川元法相は、死刑について、次のように見解を示していた。
「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人や強盗殺人などの凶悪犯罪が、いまだ後を絶たない状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないのであって、死刑を廃止することは適当ではないと考えています」 (2022年7月26日の法務大臣臨時会見の概要より)