岸田文雄政権の経済政策に警戒感が高まっている。「防衛力強化」の財源として、安倍晋三元首相が提示した「防衛国債」を排除して、財務省主導の「増税」方針をごり押ししただけでなく、岸田首相は4日の年頭記者会見で、将来的な「子ども予算倍増」を打ち出したが、財源として「消費税増税」が浮上しているのだ。「岸田大増税」の足音が近づくなか、日銀は先月、大規模な金融緩和策を修正して「事実上の利上げ」にかじを切った。今後、住宅ローン金利などに影響が及ぶ可能性がある。岸田政権は「アベノミクスを完全否定」して、コロナ禍で痛めつけられた日本経済の再建を妨害するのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が核心に迫った。 ◇ 岸田政権の「アベノミクス潰し」が鮮明だ。防衛費増額を口実に昨年末、「防衛増税」を打ち出したのに加えて、春の日銀総裁人事でも利上げ志向が強い日銀出身者らの起用が取り沙汰されている。日本経済は「お先真っ暗」と言わざるを得ない。 岸田首相は3日、ラジオ番組で、国債発行に頼らず、財源を確保していくのは「未来の世代への責任」と強調した。増税に理解を得るため、国民に説明を尽くすという。だが、どう説明するつもりなのか。 政府は当初、「2027年度までの5年間で防衛費の総額は43兆円とするが、27年度時点で1兆円程度の財源が足りなくなるから、その分を増税で賄う」と言っていた。 だが、43兆円のうちの1兆円など「誤差の範囲内」だ。その間に景気が上向いて、税収が伸びれば、1兆円などすぐ出てくる。実際、昨年7月に発表された21年度の税収は前年度を約6兆円も上回っていた。 こうした反論を恐れたのか、岸田政権は途中から「増税は24年度以降」と時期を玉虫色にする一方、増税で確保するのは「27年度までに3・5兆円」と風呂敷を広げてみせた。 逆算すれば、25年度から毎年1兆円以上を増税で賄う話になる。「24年度以降の増税」でつじつまが合うように、数字を操作したのだ。もちろん、振り付けたのは財務省に違いない。 財務省も1兆円が「取るに足らない金額」なのは、とっくに分かっている。それでも増税に固執するのは、自分たちの言うことを聞く岸田政権のうちに「何が何でも増税に唾を付けておきたい」からだろう。逆に言えば、増税路線の既成事実化に成功すれば、財務省にとって岸田政権は用済みである。 財務省は来年度予算案の成立までは政権を支えるだろうが、その後は事実上、「次の政権づくり」に暗躍するだろう。
岸田文雄政権の経済政策に警戒感が高まっている。「防衛力強化」の財源として、安倍晋三元首相が提示した「防衛国債」を排除して、財務省主導の「増税」方針をごり押ししただけでなく、岸田首相は4日の年頭記者会見で、将来的な「子ども予算倍増」を打ち出したが、財源として「消費税増税」が浮上しているのだ。「岸田大増税」の足音が近づくなか、日銀は先月、大規模な金融緩和策を修正して「事実上の利上げ」にかじを切った。今後、住宅ローン金利などに影響が及ぶ可能性がある。岸田政権は「アベノミクスを完全否定」して、コロナ禍で痛めつけられた日本経済の再建を妨害するのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が核心に迫った。
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岸田政権の「アベノミクス潰し」が鮮明だ。防衛費増額を口実に昨年末、「防衛増税」を打ち出したのに加えて、春の日銀総裁人事でも利上げ志向が強い日銀出身者らの起用が取り沙汰されている。日本経済は「お先真っ暗」と言わざるを得ない。
岸田首相は3日、ラジオ番組で、国債発行に頼らず、財源を確保していくのは「未来の世代への責任」と強調した。増税に理解を得るため、国民に説明を尽くすという。だが、どう説明するつもりなのか。
政府は当初、「2027年度までの5年間で防衛費の総額は43兆円とするが、27年度時点で1兆円程度の財源が足りなくなるから、その分を増税で賄う」と言っていた。
だが、43兆円のうちの1兆円など「誤差の範囲内」だ。その間に景気が上向いて、税収が伸びれば、1兆円などすぐ出てくる。実際、昨年7月に発表された21年度の税収は前年度を約6兆円も上回っていた。
こうした反論を恐れたのか、岸田政権は途中から「増税は24年度以降」と時期を玉虫色にする一方、増税で確保するのは「27年度までに3・5兆円」と風呂敷を広げてみせた。
逆算すれば、25年度から毎年1兆円以上を増税で賄う話になる。「24年度以降の増税」でつじつまが合うように、数字を操作したのだ。もちろん、振り付けたのは財務省に違いない。
財務省も1兆円が「取るに足らない金額」なのは、とっくに分かっている。それでも増税に固執するのは、自分たちの言うことを聞く岸田政権のうちに「何が何でも増税に唾を付けておきたい」からだろう。逆に言えば、増税路線の既成事実化に成功すれば、財務省にとって岸田政権は用済みである。
財務省は来年度予算案の成立までは政権を支えるだろうが、その後は事実上、「次の政権づくり」に暗躍するだろう。