2019年に東京・池袋で起きた暴走事故で妻子を亡くした男性を、SNSで中傷するなどして、侮辱罪と偽計業務妨害罪に問われている油利潤一被告(23)の判決公判が、午後1時半から開かれた。
東京地裁は、油利被告に、懲役1年・執行猶予5年および拘留29日の有罪を言い渡した(求刑:懲役1年および29日の拘留。改正前の侮辱罪の法定刑は「拘留または科料」)。
2019年4月、池袋で起きた暴走事故で、妻の真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(当時3)を亡くした松永拓也さんは、交通事故の撲滅を訴える活動を続けている。
起訴状などによると、油利被告は、去年3月、その松永さんのツイッターに、「金や反響目当てで、闘ってるようにしか見えませんでしたね。そんな父親、天国の松永莉子ちゃんと松永真菜さんが喜ぶとでも??」「お荷モツの子どもも居なくなったから乗り換えも楽でしょうに」などと書き込み、侮辱罪に問われている。
また、2カ月後の去年8月には、ツイッターに、「新宿か秋葉原でどーなるか覚えておけ」などと、2008年に秋葉原で起きた無差別殺傷事件を想起されるような内容を投稿。秋葉原の歩行者天国を一時中止させるなど、警視庁の業務を妨害したとして、偽計業務妨害の罪にも問われている。
侮辱罪と偽計業務妨害罪の2つの罪に問われている油利被告は、去年11月16日に行われた初公判で、「間違いありません」と起訴内容を認めた。しかし、弁護側は「投稿は松永さんに対するものではなく別の人物へのものだった。松永さんを侮辱する意図は無かった」として、侮辱罪について無罪を主張していた。
これまでの裁判では、松永さんも証言台に立ち、「『命の大切さ』、『言葉の重さ』をよく考え、心から謝罪できるような人になってほしい。人の痛みが分かるような人間になるための機会を、司法の手で作っていただきたい」などと意見を述べていた。
きょうの判決で東京地裁は、松永さんに対する書き込みついて「侮辱する意図のもと行ったもので、被害者の心情に配慮することなど一切なく、被害者が厳しい処分を求めるのはもっとも」と指摘。その上で、「全体として、刑事責任は相当程度に重い」と述べた。
一方で、判決では、油利被告が、反省の言葉を述べて、医療的措置を受けていることなどに言及。さらに「二度とインターネット上で発信しないことを誓っている」ことなどを考慮して、「今回に限り」、懲役刑については執行猶予を認めると結論付けた。
裁判長は、油利被告に対して、主文を後回しにして、理由を読み聞かせた上で、判決を言い渡した。