千葉県警は、飲酒運転で事故を起こして服役することになった受刑者5人の手記をホームページ上で公開している。あえて加害者側の「その後」を知ってもらうことで、飲酒運転を少しでも減らすのが狙い。手記を基に作成した再現ドラマも制作し、県警公式チャンネルで公開している。県警の担当者は「飲酒運転しても大丈夫なはずがない。『たかが交通違反』とは思わないでほしい」と注意を促している。(大津杜都)
「飲酒しても、いつも通り運転できると思った」――。30歳代の元会社員の男性は、事故を振り返り、こうつづった。事故を起こす前、妻と子ども2人の家族4人でマイホーム暮らし。会社では支店を任されるなど、順調な人生を送っていた。
男性はある日の仕事終わり、友人とテキーラを手始めに酒を酌み交わした。「裏道なら検問もないし大丈夫」と、午前1時を過ぎ、酒に酔った状態のまま、家族の待つ自宅へ車を走らせた。心地よくなり、ボーっとして運転していると、突然人影が現れ、ブレーキをかけたが、間に合わなかった。
気が動転して、衝突した場所から300メートルほど走ったところで車を止め、現場に戻った。しかし、被害者は倒れたまま身動きせず、亡くなった。
後日、保釈が認められて男性が自宅に戻ると、机の上に置いてあったのは、離婚届だった。事故当日から子どもと二度と会えなくなり、家族は離れ離れになった。職も失った。懲役3年の実刑判決を受け、「一生償えない罪を背負い、被害者の人生を終わらせてしまった」と悔恨の念を記している。
他にも、50歳代の元トラック運転手や30歳代の元福祉職員らが手記を執筆。「自分の犯した罪は一生消えることはない」「事故ではなく犯罪。人殺しと同じなのだと思った」といった事故後の思いを赤裸々につづっている。
県内では、八街市で2021年6月、下校中だった児童5人が飲酒運転のトラックにはねられて死傷した。だが、こうした悲惨な事故が起きた後も、飲酒運転による事故は後を絶たない。
県警交通総務課によると、飲酒運転が絡む事故は昨年、前年比21件増の123件起き、うち7人が命を落とした。全国的にもワースト上位の状態が続いている。今回の手記や動画作成に携わった同課の内田直之課長補佐は「飲酒運転は、他人の人生だけでなく、自分の人生やその家族も台無しにするということを知ってほしい」と話している。