奈良市の仲川げん市長は19日の定例記者会見で、安倍晋三元首相の銃撃事件の現場で進む道路整備工事の中止を求めるインターネット上の署名が同日時点で3万人以上に上っていることについて、「高い関心を持っていただいていることはしっかりと受け止めたい」と述べる一方、工事の計画変更や中止は難しいとの見解を示した。
事件当時現場に居合わせた仲川市長は、現場付近に慰霊碑などの設置を検討したが、「事件を思い出したくない」「税金を使いたくない」などの声が相次ぎ、昨年10月に「世論の分断を生んでしまう」として現場に記録を一切残さず、新設の花壇を追悼の場とする方針を示した。ただその後、市には「慰霊碑などを残すべきだ」とする意見が多く寄せられた。
仲川市長は、工事を変更や中止した場合、国への予算返還や業者からの賠償請求などのリスクが生じると説明。「感情論と実務的な問題を切り分けて判断する必要がある」と述べた。奈良県内の自民党関係者が現場近くに私費で慰霊の場設置を検討していることに対しては「異議を唱えることはない」と理解を示した。
また、昨年10月に慰霊碑に関する市の方針を示して以降、「お前も銃殺してやる」などの殺害予告がメールなどで複数件届いていると明らかにした。すでに奈良県警に相談したといい、仲川市長は「言論の自由を踏み越えた行為には、毅然(きぜん)と対応していきたい」と話した。