北国は低温による断水や停電によるトラブルが発生する恐れがある。寒波によって氷点下19度まで下がった22日の北海道北見市。約100人が日赤道看護大の体育館で朝を迎えた。といっても災害は起きていない。大学の災害対策教育センターが主催する宿泊演習だ。震えの止まらないほどの状況下での宿泊演習で、「日本で最も過酷な避難所演習」と日赤看護大の根本昌宏センター長は言う。巨大地震が発生と同時に起きた感染症の対応策も想定した演習になった。【本多竹志】
段ボールベッド、キッチンバス設営
宿泊演習は2日間。新型コロナウイルス禍で中断を余儀なくされ、3年ぶりの開催となった。21日に道内であった大規模地震で北見市も停電が発生し、外気は氷点下7度。水は避難所の貯水タンクしか使えず、ガスも使えないという北国ならではの見立てで実施した。
参加したのは行政の防災担当者、医療福祉関係者、避難所に資機材を提供、運営する人たち。災害時のトイレ、キッチン、ベッド、暖房をテーマに関する課題を考えた。また、暴風雪で車両に閉じ込められることを考え、車中泊も体験した。
今回の宿泊演習の注目点は最新の「クイックタイプ」の段ボールベッド。組み立て方の改善で従来の製品の半分の時間で完成するという。美幌町防災担当の土田脩平さん(36)は「自治体は開設の人員も少ないので、時短ができるのはありがたい」。従来は体育館にブルーシートを敷いて雑魚寝するスタイルだったが、近年は段ボールベッドを備蓄する自治体が増えている。感染症対策、個人のプライバシー保護のための役割も大きい。
2日間の演習の中で、キッチンバスやコンテナ型トイレなども登場した。参加者は調理された温かい食事の提供、雪を使った足湯、熱交換式ジェットストーブの暖房と換気も試行。参加者は健康と命を守る避難所運営のあり方を模索した。
初参加した札幌市立大で災害看護学を教える講師の鬼塚美玲さん(47)は「段ボールベッドの組み立てなどを体験できたこと、キッチンカーなどの避難所運営に関する最新の情報に接することができたことと、実りが大きかった」と語り、段ボールベッドで毛布と寝袋で過ごした一夜を振り返った。
根本センター長は、「今回は日本海溝・千島海溝巨大地震の被災想定が発表されたことで、太平洋沿岸の地域からも大勢が参加してくれた。演習で体感したものを地域に持ち帰って、よりよい避難所を運営してほしい」と手応えを感じていた。