「ルフィ」ら、フィリピン収容施設から強盗指示か…警察が4人送還要請

関東など各地で相次いでいる強盗事件で、指示役と同じ「ルフィ」と名乗る人物を含む男4人が、フィリピンの首都マニラ郊外にある入国管理局の収容施設に拘束されていることが捜査関係者への取材でわかった。4人は別の特殊詐欺に関与したとして警視庁が逮捕状を取っており、警察当局はフィリピン当局に身柄引き渡しを要請。現地当局は一部の容疑者について身柄を送還する意向を示している。
捜査関係者によると、逮捕状が出ているのは、渡辺優樹、今村磨人両容疑者ら4人。このうち渡辺容疑者が過去に「ルフィ」と名乗っていたことが確認されており、今回の「ルフィ」の可能性があるという。
一連の強盗事件で日本の警察はこれまでに30人超を逮捕。容疑者のスマートフォンの解析で、指示役「ルフィ」の存在が判明した。ほかに「キム」「ミツハシ」という名前も挙がっている。これらの人物からの電話の発信元がフィリピンで、渡辺容疑者らが収容施設の中から秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて強盗などの指示を出している可能性が浮上した。
フィリピンでは2019年11月、現地の拠点から日本に特殊詐欺の電話をかけていた日本人36人が摘発された。警視庁は渡辺容疑者らが指示役だったとみて、高齢者宅でキャッシュカードをすり替えて盗んだ窃盗容疑などで逮捕状を取得。現地当局に身柄の引き渡しを求めていた。
警察当局は今後、フィリピンに捜査員を派遣するとともに、4人の身柄が移送され次第、窃盗容疑などで逮捕し、一連の強盗事件との関連を調べる。強盗グループは昨年10月以降、少なくとも8都県で14件の強盗に関与したとみられ、このうち東京都狛江市では今月19日、住人の大塩衣与さん(90)が殺害される強盗殺人事件も起きている。
【マニラ=安田信介】フィリピンのヘスス・レムリヤ法相は27日、マニラの司法省で記者団に「在フィリピン日本大使館から連絡があり、対応を協議する」と述べた。「ルフィ」が渡辺容疑者とみられるとの見方を示し、「収容施設で犯罪行為を行っているとすれば、その責任を問うことになる」と話した。現地当局は一部の容疑者について「手続きが整い次第、(身柄を)送還する」としている。