首相がNATO事務総長と会談、安保協力強化を確認「さらなる高みに引き上げていく」

岸田首相は31日、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長と首相官邸で会談し、日本とNATOの安全保障協力の強化を確認した。ロシアのウクライナ侵略や中国の軍備増強を念頭に、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識でも一致した。
NATO事務総長の来日は、2017年10月以来。ストルテンベルグ氏の来日は、5月に広島市で開かれる先進7か国首脳会議(G7サミット)を見据え、議長を務める首相と連携を強める狙いがある。
首相は会談後の共同記者発表で、「自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため、日NATO間協力をさらなる高みに引き上げていく」と述べた。ストルテンベルグ氏は「我々は結束し、断固として自由と民主主義のために協力を進めなければならない」と応じた。
会談後に発表した共同声明では、「力または威圧による一方的な現状変更は世界のいかなる場所でも認められない」と明記。ロシアによる核兵器の使用は「国際的な非難及び深刻な結果を被る」と警告した。ロシアと中国の軍事連携への懸念も強調した。
強引な海洋進出を続ける中国を念頭に東・南シナ海での現状変更の試みや威圧への反対で一致し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認した。
日本とNATOの協力を「新たな高みに引き上げる」とし、サイバーや宇宙、偽情報への対処などでの協力を申し合わせた。日本政府による北大西洋理事会や参謀長会議への定期的な参加の検討も確認した。