全国で相次ぐ強盗事件で指示役だった「ルフィ」と名乗る人物の可能性があり、現在はフィリピンの入管施設に拘束されている日本人男性4人について、警視庁捜査2課は31日、氏名などを発表した。4人は2019年にマニラを拠点とした日本人の特殊詐欺グループが摘発された事件に関与した疑いが持たれている。警視庁は準備が整い次第、現地に捜査員を派遣する方針。移送後はまず特殊詐欺事件について調べ、その後、全国で発生した強盗事件なども追及する。
捜査2課によると、逮捕状が出ているのはいずれも住居不定、職業不詳の渡辺優樹(38)、小島智信(45)、藤田聖也(としや、38歳)、今村磨人(きよと、38歳)の4容疑者。渡辺、小島、今村の3容疑者については19年に、藤田容疑者は21年に逮捕状が発付された。
この特殊詐欺グループによる被害は18年11月~20年6月ごろに全国で約2300件確認され、約35億円がだまし取られたとされる。これまでに計70人以上が検挙された。
4人はフィリピン国内で係争中の事件を抱えていたことなどから、日本に強制送還されることなく、同施設での拘束が続いていた。同課は渡辺容疑者がグループのトップだったとみている。
また、4人は全国で相次いだ強盗事件にも、入管施設から指示を出すなどして関与した疑いが持たれている。
一連の強盗事件では「ルフィ」などと名乗る人物が実行役をSNS(ネット交流サービス)の「闇バイト」で集め、事件ごとにメンバーを入れ替えて、犯行場所や日時などをスマートフォンで指示していたケースが複数確認されている。
捜査関係者によると、こうした強盗の手口は、4人が関与したとされる特殊詐欺事件の手口と共通している。いずれも実行役の多くは闇バイトで集め、やりとりには秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」が使用されていた。
強盗事件では「ルフィ」のほかに「キム」と名乗る指示役もいるとされ、電話の発信元の国番号はフィリピンを示す「63」だったことも分かっている。一方、特殊詐欺事件でも指示役らは本名ではなく、あだ名で呼び合っていたという。【林田奈々、遠藤龍】