逗子斜面崩落事故 高3遺族が神奈川県を提訴「危険を放置した」

神奈川県逗子市で2020年2月、分譲マンション敷地内の斜面が崩落し、隣接する道路を歩いていた県立高校3年の女子生徒(当時18歳)が土砂に埋もれて死亡した事故で、生徒の両親ら遺族は3日、県が土砂災害防止法に基づく十分な調査をせず危険な状況を放置したなどとして、県を相手取り計150万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴したと明らかにした。提訴は2日付。
事故は20年2月5日午前8時ごろに発生。高さ約15メートルの斜面のうち、上部の土砂(高さ6メートル、幅7メートル、厚さ1メートル、推計68トン)が崩れた。国土交通省の専門家は事故後の調査で「風化を主因とした崩落」と結論付けた。
訴えたのは生徒の両親と妹の3人。訴状によると、県が事故前の19年11月と20年1月に現場一帯で行った調査が、科学的知見に基づいていなかったと指摘。さらに斜面を急傾斜地法に基づく危険区域に指定し、崩壊防止工事を施す義務を怠ったなどとしている。県は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。
生徒の父親(56)は3日、横浜市内で記者会見し「二度とこのようなことが起こらないように願うばかり。県は誠実に向き合ってほしい」と訴えた。
事故を巡っては21年、遺族がマンションの管理会社や住民らを相手取り、約1億1800万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴し、現在も係争中。【園部仁史】