2月8日、大阪府寝屋川市のブリーダーの女が飼育する犬にけがや病気を放置するなどの虐待を行っていたとして大阪府警に逮捕された。逮捕前、MBSの取材班は容疑者を直撃していた。
「小さなケージ」「30℃超の室内」「放置されたフン」…地獄のような繁殖施設
(記者リポート) 「長年、悪質な飼育放棄を行っていたとみられるブリーダーの女が寝屋川警察署に入ります」
2月8日、動物愛護法違反の疑いで逮捕された大阪府寝屋川市のブリーダー・橋本千代子容疑者(57)。2016年から約6年にわたり、飼育していた犬10匹が病気やけがをしている状態にもかかわらず適切な保護をせずに放置した疑いがもたれている。
ホームページ上では「衛生面、健康面なども充分気を配っている」と謳っているが、実際の繁殖施設は…。
(記者リポート) 「外にも少しツーンとしたアンモニア臭や獣臭が漂っています。橋本容疑者はこちらの店でけがや病気の犬を放置していたとみられています」
施設の内部を撮影した写真。小さなケージの中に数匹の犬がひしめき合っている。さらに温度計の表示は気温31.1℃、湿度81%。熱中症の警告が出ている。
部屋の天井近くまでケージが積み上げられていて、フンはそのまま放置されている。中にはけがをした犬もいて、ある犬は左目が、その隣の犬は右目が白く濁っている。
死んだ犬は火葬まで冷凍庫に…知人『冷凍庫いっぱいだわって笑っているんですよ』
問題が発覚するきっかけは、橋本容疑者が知人に「妊娠できなくなった犬を引き取ってほしい」と連絡したことだった。相談を受けた女性は、施設内に入った際、「犬の世話が十分になされていないと感じた」と話す。
(犬を引き取った女性) 「体が悪いことをわかっていて、一週間くらいご飯も食べていない子がいて、病院にも連れて行かないんですもん」
橋本容疑者からは犬の命を軽んじるような発言もあったという。
(犬を引き取った女性) 「例えば犬が死んだときに火葬するのにね、それまでは冷凍庫に入れているんですよ、死んだ犬を。『もう冷凍庫いっぱいだわ』って笑っているんですよ。『(火葬に)1匹1万円以上かかるから大変』と笑っているんですよ」
取材の際に連れてきてもらった犬も、橋本容疑者から依頼されて引き取った犬だ。女性は初めて見た時、あごの形に違和感を覚えたという。
(犬を引き取った女性) 「あごがおかしいので病院に連れて行ってみると、ここが折れていて下のあごが歪んでいるという状態ですね。従業員の人に聞いてみたら、すごく小さいウサギ用のケージみたいなものに入れられているんですよね。それを固定していないまま積み上げられていて、そこから何度か落ちていて、何度目かに折れたみたいですね」
女性は知り合いらと協力して繁殖犬約50匹を保護した。ほとんどの犬が病気やけがをしていて、中には治療をしても助からなかった犬もいたという。
(犬を引き取った女性) 「怒りはずっとありますね。今もあります。元気になったからいいけど、死んだ犬のことを思い出すんですよ。早く病院に連れて行ってあげればそんなことにならなかったのにという犬ばっかりなんですよね。それが腹立たしい」
悪臭や衛生環境を巡り周辺住民と度々トラブルも
繁殖施設の中で行なわれていたネグレクト。周辺住民も薄々気づいていた。
(近くに住む人) 「(夜中も)ずっと鳴いていますよ、ずっと何かしら声が聞こえていますよ。悲鳴みたいな声が聞こえるので、たまにワンコのキャーンといってすごい声が聞こえるので、今絶対痛いことをしたなと思う。あぁかわいそうやなって」
橋本容疑者に施設の建物を貸していた男性は、悪臭や衛生環境を巡り周辺の住民と度々トラブルになっていたと話す。
(施設の建物所有者) 「(近くに)業務用食材を販売されているお店があったんですけど、その方から頻繁に『やかましい』『くさい』『やってられない』という苦情の電話が入ってきて。そのつど相手(橋本容疑者)に改善してくれるように何度も申し入れていたんですけど、一向に改善がなされないまま」
さらに施設ではネズミも大量に繁殖。結局、食品会社は転居を余儀なくされたという。
(施設の建物所有者) 「冷凍食品もあったみたいで、ネズミがかじったりとかそんな話はされていた。そんなところで商売やってられないのでということで。もう今その問題で出ていかれました」
容疑者を直撃取材『一般の方が来る場所ではない』『虐待はしていない』
犬へのネグレクトについてどう考えているのだろうか。先週、取材班は橋本容疑者の繁殖施設を訪ねた。
(記者)「臭いがすごいですね。(犬の)フンですかね」
施設の中には段ボールが無造作に置かれて倉庫のようにも見える。その横にはケージが積み上げられていて20匹ほどの犬が鳴き声を上げていた。
従業員に取材の旨を告げると、「橋本容疑者と直接話すように」とスマートフォンを渡された。
(記者)「施設のほうがすごい臭いと汚さでびっくりしたんですけど、だいたいどこもこんなものですか?」 (橋本容疑者)「どうでしょうね、今はまだお世話の途中なので」 (記者)「ワンちゃんかわいそうじゃないですか?」 (橋本容疑者)「一般の方が来る場所ではないので」 (記者)「少し中を見せてもらってもいいですか?」 (橋本容疑者)「中には入れません」
橋本容疑者は「衛生状態は問題ないが施設の中は見せられない」と繰り返した。
その後も張り込みを続けていると、2月6日、取材班は橋本容疑者とついに接触することができた。
(記者)「虐待されていたんですか?」 (橋本容疑者)「してないから」 (記者)「説明してほしいんですけど」 (橋本容疑者)「ごめんなさい。やめてください」 (記者)「橋本さん、ちょっとだけ説明してください」 (橋本容疑者)「開けないでください」
橋本容疑者は「犬の世話はしていた」と主張したが、最後まで納得できる説明は無かった。
数年にわたって行なわれていたとみられる犬へのネグレクト。調べに対して橋本容疑者は「病院にも連れて行っていたので、適切な保護を行わず、という部分に納得がいきません」と容疑を否認していて、警察は犬の飼育方法に問題がなかったか慎重に調べる方針だ。