自民党は16日、安全保障調査会などの合同会議を党本部で開き、領空侵犯した気球の撃墜を可能とするため、政府が示した武器使用の要件緩和を了承した。政府は(1)空路を飛行する航空機の安全確保(2)地上の国民の生命や財産の保護―を目的に、武器使用を認める案を説明した。中国の偵察用気球が過去に日本上空を飛行していたとされる事態を受け、新たな飛来に備える狙いがある。
ただ、従来慎重に扱われてきた自衛隊による武器使用が、拙速な議論で拡大することには懸念の声も出そうだ。公明党も16日の安全保障部会で緩和策を協議する。
自民の小野寺五典安保調査会長は会合で「武器使用の問題は政治がしっかり確認した上で、政府に一定の責任を持たせることになる」と指摘。同時に「すぐ対処できるよう速やかな準備を政府に求めたい」と強調した。
自衛隊法84条は外国の航空機が領空侵犯した場合、着陸や退去を促すため「必要な措置」を講じられると規定。警察権の行使に準じ、武器使用は正当防衛や緊急避難の場合に限り認めてきた。