バイデン米大統領は20日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問しゼレンスキー大統領と会談した。バイデンのウクライナ訪問は、ロシアによる侵攻開始以降初めて。訪問は事前に公表されていなかった。
G7首脳らは次々とウクライナを訪問し、世界に連帯を示してきた。G7首脳の中で、ただ1人、ゼレンスキーと対面できていないのが、2023年のG7議長国として広島サミットを開催する岸田首相だ。国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。
「バイデン大統領の電撃訪問を受けて、岸田首相は、何が何でもサミット前にウクライナ訪問を実現したいとの思いを募らせたはずです」
秘密裏に進められたとしても、いくつものハードル
しかし、戦後、日本の首相が“戦地”に赴いた例はない。岸田首相のウクライナ訪問は実現するのか。
「安全上の観点から、電撃訪問の必要があります。事前に情報が漏れるとリスクがあるからです。しかし、国会開会中であり、外国出張する場合は事前に国会に報告する必要がある。各党やメディアに箝口令を敷いて、漏れないようにするしかありませんが、かなり難易度が高い。
仮に、秘密裏に進められたとしても、現地の警備について、ウクライナにお願いするのか、武器を持った自衛隊を随行させるのかなど、法的に想定していない事態も生じる。ハードルはいくつもあるのです。ただ、岸田首相は最後の最後まで訪問の可能性を模索することになるでしょう」(春名幹男氏)
岸田政権は一時、ロシアのウクライナ侵攻から1年になる2月24日に合わせて、ウクライナ訪問を模索していたという。このままゼレンスキーに会えないままサミットを迎えるのか。岸田首相の狼狽ぶりが目に浮かぶ。