聴覚障害児の事故死、運転手などに3700万円賠償命じる…大阪地裁

大阪市生野区で2018年、重機にはねられて死亡した大阪府立生野聴覚支援学校小学部5年の井出 安優香 (あゆか)さん(当時11歳)の遺族が運転手などに約6100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は27日、約3700万円の支払いを命じた。
武田瑞佳裁判長は、将来得られたはずの収入「逸失利益」について、全労働者の平均年収の85%をもとに算出するのが相当と判断。「被害者には様々な就労可能性はあったといえるが、他者とのコミュニケーションが制限される障害があったことは否定できない」とし、健常者と同水準までは認めなかった。
井出さんは18年2月、大阪市生野区で下校中に歩道に突っ込んできたショベルカーにはねられて死亡した。
両親らは20年1月、運転手や当時の勤務先の土木会社を提訴。井出さんは生まれつきの難聴で聴覚障害3級だったが、逸失利益は、将来の就職や進学の可能性が高いとして、全労働者の平均年収497万円(18年)から算定した。
これに対し、被告側は聴覚障害者の平均年収(294万円)をもとにすべきとし、健常者の約6割にとどまると主張していた。