警察庁は6日、サイバー攻撃の被害に関するインターネット上の通報・相談窓口を2023年度末までに一元化すると発表した。これまでは、都道府県警ごとに窓口があり、「どこに届ければいいか分からない」といった声があった。また、サイバー事案を巡る現場の警察官の対応に課題があるとして、今年5月までに対応マニュアルも作成する。こうした取り組みで、企業などが警察への通報をためらう「被害の潜在化」の防止を目指す。
警察庁によると、不正アクセスなどの被害に遭った企業などを対象に22年に実施した調査で、被害を「届け出なかった」と回答した割合は43・9%に上った。この背景には、企業側が「捜査協力しても、どのような対応を求められるか分からない」「被害に関する情報が外部に伝わってしまう」といった心配を抱えていることがある。こうした「被害の潜在化」を防ぐため、警察庁は22年12月、有識者検討会を設置していた。
検討会が今年3月にまとめた報告書は、都道府県警のウェブサイトからのサイバー相談受理状況について「極めて低調」と指摘。また、今年2月現在で、サイトにサイバー相談の窓口を設置しているのは、47都道府県警のうち19警察にとどまっており、その方式もフォームへの入力やメールでの送信などばらばらだった。報告書は「警察庁において、ネットから一元的かつ簡易に通報・相談できる窓口を整備すべきだ」と提言していた。
また、警察に通報しても、対応した捜査員から「攻撃者までたどり着くのは困難」などと消極的な対応をされたというケースがあり、報告書は「対応マニュアルを整備し、過不足なく丁寧な説明や聴取ができるように備えるべきだ」としていた。
警察庁の担当者は「海外では通報を義務化している国もあるが、まずは通報や相談をする社会的な機運を醸成していきたい」としている。【松本惇】