名護市の大浦湾周辺海域で、国の天然記念物ジュゴンのふんが見つかっていたことが5日、分かった。2022年7月に海に浮かんでいた草食動物のふんを、沖縄県がDNA鑑定し、ジュゴンのものと判明した。生息を裏付ける直接的な証拠となる。発見場所は沖縄防衛局が辺野古新基地建設に伴う埋め立て工事を進めている海域の南側。防衛局はこれまで、ジュゴンが辺野古・大浦湾を餌場に利用することは少なく、工事による影響はないとしてきた。県は、調査方法の見直しなどを求める考えだ。(政経部・東江郁香)
漁業者が昨年7月、名護市久志の沿岸に浮いていたふんのようなものを発見。海藻に絡まり、固形状で、排せつから数日の新しいものとみられる。県が採取して調べたところ、ジュゴンのDNAが検出された。
沖縄近海では07年以降に3頭のジュゴンが確認された。そのうち1頭は15年、1頭は18年から確認されておらず、残る1頭は19年に死んだ状態で発見された。関係者によると、このふんが生息の可能性がある2頭のものか、別の個体のものかは分からない。
大浦湾周辺の海域には、ジュゴンが餌場として利用する大規模な海草藻場があり、環境省や市民団体の調査で食(は)み跡などから生息が確認されていた。
防衛局の調査では、大浦湾周辺海域で最後にジュゴンの姿が確認されたのは18年9月。新基地建設で埋め立て土砂の投入が始まった同12月以降は、食み跡も見つかっていないという。
県や市民団体は埋め立て工事が及ぼす影響を調査するよう求めてきたが、防衛局は応じていない。
沖縄のジュゴンは、環境省や国際自然保護連合(IUCN)が近い将来に絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧1A類」と評価している。
ジュゴン保護に向けた取り組みが求められるとして、県は16年度から普及啓発活動や生息状況調査などを実施。ジュゴンの姿や食み跡など目撃情報を集めている。