平和祈念資料館の開館に尽力 元ひめゆり学徒の本村ツルさん死去 97歳

沖縄戦に看護動員された「ひめゆり学徒隊」の一人で、1989年のひめゆり平和祈念資料館(糸満市)の開館に尽力し、館長を歴代最長の約8年間務めた本村ツル(もとむら・つる)さんが7日午前1時29分、老衰のため沖縄県西原町津花波の自宅で死去した。97歳。那覇市泊出身。告別式は10日午後5時から5時45分、浦添市前田2の15の1、サンレーグランドホール中央紫雲閣で。喪主は長男昌一(まさかず)さん。
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本村さんは25年6月11日生まれ。43年、県立第一高等女学校を卒業後、沖縄師範学校女子部本科へ入学。米軍による艦砲射撃が始まった45年3月23日の夜、南風原の陸軍病院へ看護要員として動員された。
沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒や教師ら240人が動員されたひめゆり学徒隊は136人が命を落とした。最上級生だった責任に苦しみ、公に体験を語る機会は多くはなかった。44年には疎開船「対馬丸」に乗っていた妹と弟を含め、きょうだい5人も亡くしている。
戦後はコザの孤児院で戦災孤児の世話をし、その後、壺屋初等学校で教職に就いた。市内の小中学校で教え、84年に退職した。
89年のひめゆり平和祈念資料館の開館に向け、資料委員長を務めるなど設立の中核を担った。2002年6月から10年3月まで資料館館長を務めたほか、県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団理事長を歴任。12年には沖縄の平和教育の推進に貢献したとして、県功労者表彰を受けた。
(社会部・島袋晋作)