カンボジア特殊詐欺グループ 逃走防ぐため監禁状態で働かせる…「掛け子」がSOS

カンボジア南部のリゾートホテルを拠点とした特殊詐欺事件で逮捕された男らが、昨年12月下旬以降にこのホテルにチェックインしていたことが12日、分かった。グループによる被害は昨年4月以降に少なくとも75件に上るとみられ、摘発を逃れようとして拠点を転々とした疑いがある。
警視庁によると、逮捕されたのは岡本大樹容疑者(38)ら19人で、いずれも住所、職業不詳。大半は電話で日本国内の被害者にうその話を持ちかける実行役とみられる。2021年11月から今年1月にかけ、カンボジアに順次入国した。
このグループ摘発のきっかけは「掛け子」の通報だった。今年1月、グループのメンバーとみられる人物から在カンボジア日本大使館に「ホテルで特殊詐欺をやらされていて外に出られない。助けてほしい」と通報があった。情報提供を受けた現地当局が1月下旬にホテルに踏み込み、19人の身柄を拘束。スマートフォン約60台に加え、マニュアルや名簿を押収した。
過去に日本やタイで特殊詐欺グループが摘発されたきっかけは、掛け子が逃げ出し、「監禁された」として警察に駆け込んだケースが時々ある。
元暴力団関係者は「(フィリピンから)“ルフィ”が闇バイトを募って、強盗の実行役をやらせましたが、それは胆力があればできますし、使い捨てなので捕まっても問題なかった。一方、特殊詐欺の掛け子は、弁護士役や警察役など落ち着いた演技を求められ、マニュアルを暗記した上でアドリブも求められます。才能がある上に育成に時間がかかります。使える掛け子はコマとして大切なんです。大切と言っても、犯罪目的の集団の中に仲間のことを思いやり、守るといった真の友情など存在しませんが」と指摘する。
特殊詐欺グループの統括役は掛け子たちにパスポートを取らせてカンボジアに連れて行き、渡航費、滞在費、食費を出して犯行を行わせてきた。多くの手間と費用がかかっている。
「育てた掛け子ですが、特殊詐欺に加担するような人間だから、ノルマを課さないと働かない。一日中、働かせられるから、いつでも逃げ出そうとする。だから、監禁して、強制しないといけないわけです」と同関係者は話している。