町村長選と町村議選が18日に告示され、町村議選では立候補者が定数を上回らずに無投票となるところが相次いだ。議員の「なり手不足」は深刻で、議員報酬の引き上げなどの対策を講じても人材を確保できなかった町村もある。有識者は「議員活動を住民に知ってもらう工夫も必要」と指摘する。
石川県志賀町議会は昨年12月、若年層や女性の立候補を促すため、今回の町議選後に議員報酬を約7万円増の月額29万9000円にすることを決めた。
2015年の町議選は定数と同じ16人が出馬して無投票。前回19年は定数割れが見込まれたが、議会が1か月前に定数を2減の14にしたため選挙戦になった。議会は若手のなり手確保策として議員報酬の増額を町に要請。定数削減とセットでなければ理解を得られないとして21年12月、定数を12とすることを決めた。
今回は定数を2上回る14人が立候補し、選挙戦に入った。新人は40~60歳代の男女3人。ある現職は「議会に新陳代謝が起きるのは望ましい」と歓迎する。
一方、群馬県川場村議会も3月、県内最低だった議員報酬を3万円増の月額18万円としたが、村議選(定数10)の立候補者は60歳代の新人3人を含む10人で、前回に続く無投票だった。
議員報酬だけで暮らすのは難しく、大半が年金や農業などで収入を得ている。引退する村議の一人は、昨年末から後継者を探してきたが、働き盛りの40~50歳代には断られたという。「若い人に選挙に出てほしいが、定数割れにならないように後継者を探すのに苦労している。それ以上は難しい」とこぼした。
長野県大桑村議会は1月、新人の立候補を促そうと、全議員が出馬するか否かの進退表明を行った。村議選(定数10)は30~60歳代の新人4人が立候補したが、引退者が多く「欠員1」の定数割れとなった。
大正大の江藤俊昭教授(地方自治)は「打開策は多角的に考えるべきで、議員の魅力、やりがいを伝えることも大事。議員は住民の声を聞き、一緒に政策提言をするなどして、活動を知ってもらう必要がある」と指摘する。
「トリプル無投票」も
統一地方選の町村議選では、立候補者が定数を下回る「定数割れ」が続出した。前回選の2・5倍となる20町村に上り、再選挙となる自治体もある。
栃木県芳賀町では、町長選、町議選とも無投票となった。統一選前半戦の県議選でも同町を含む芳賀郡選挙区は無投票で「トリプル無投票」となった。町議選は定数14に対し、立候補者は12人。今回で引退する町議は「もう定数を削減すべきだ」と語った。同町の団体役員高橋一彦さん(78)は「投票機会を奪われ、政治への関心がますます薄れるのでは」とため息をついた。
高知県黒潮町議選は、定数14に対し、立候補者が13人にとどまった。2月末時点で現職4人が引退意向を示す中、出馬表明した新人は1人だけ。地域の代表者らは町政に関心のありそうな町民に出馬の打診を始め、告示直前に元副町長の山本牧夫さん(74)が立候補を決めた。山本さんは「議員報酬が少なく、若い人はなかなか手を挙げにくいのだろう」と話した。町選挙管理委員会は来秋予定の町長選にあわせて欠員1の再選挙を実施するとしている。
東京都御蔵島村議選も、定数6に対して5人しか立候補しなかった。無投票当選者の一人、広瀬旭治さん(75)は、告示4日前に出馬を決意した。「良い人材がいれば、自分が手を挙げなくてもよかったのだが……」と打ち明けた。