政府は20日、日本学術会議の会員選考方法を見直す日本学術会議法改正案について、今国会への提出を見送る方針を決めた。同改正案には、学術会議側が「独立性が損なわれる」と反発しており、提出を強行すれば対立が決定的となり、世論の理解も得られないと判断した。
後藤茂之経済再生担当相は20日、首相官邸に岸田文雄首相を訪ね、提出見送りを報告。今後の学術会議の在り方に関し「特殊法人などの民間法人とする案を俎上(そじょう)に載せ、再度議論を進めたい」と伝えた。これに対し首相は「丁寧に議論し早期に結論を得てほしい」と語った。
後藤氏は記者団に「このまま法案を閣議決定した場合、政府との決定的な決裂を招く恐れもあると考えた」と述べた。
改正案は、会員選考について第三者の有識者に関与させる「選考諮問委員会」を新たに設けることなどが柱。学術会議は18日の総会で、いったん法案提出を見合わせるよう政府に勧告していた。
[時事通信社]