恒星表面のガスが高速で噴き出す現象「プロミネンス(紅炎)」について、観測史上最大の噴出を捉えることに成功したと、京都大と国立天文台などの研究チームが発表した。地球から約400光年離れた変光星で観測し、太陽での過去最大級の噴出の100倍以上の質量を持つという。噴出時には天体が質量の一部を失うことから、恒星進化のメカニズム解明につながる可能性がある。
研究成果は、28日付の国際天文学誌「アストロフィジカルジャーナル」に掲載された。
プロミネンスは約1万度あり、太陽など恒星の表面で起きる突発的な爆発現象「フレア」に伴って噴出する。地球と太陽の関係では、噴出時に磁気嵐などで通信障害や大規模停電などの被害が出る一方、生命誕生に必要な元素を生み出した可能性が指摘されている。
京大理学研究科修士2年の井上峻さんと、国立天文台の前原裕之助教らは2020年12月、岡山県の京大岡山天文台にある「せいめい望遠鏡」と米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡で、オリオン座近くの変光星を観測。光を波長ごとに分ける分光観測データを解析するなどし、太陽で過去最大だったフレアの7000倍超のエネルギーを持つ巨大フレアとプロミネンス噴出の証拠を突き止めた。
噴出には、プロミネンスの速度が、天体の重力を振り払うのに必要な最低速度を超える必要がある。今回は秒速約1600キロに上り、最低速度の秒速350キロを大きく上回っていたという。井上さんは「初期の太陽では同規模のプロミネンス噴出が起きていた可能性がある。恒星の進化の仕組みや生命の誕生につながった可能性を探りたい」と語った。【千葉紀和】