ジャニーズ事務所の元所属タレントがジャニー喜多川前社長から性被害を受けたと訴えていた問題で、事務所の動画と文書での謝罪を受け、実態調査などを求める署名活動をしたファンら有志の団体「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」は15日、被害者らへの謝罪を評価する一方、「記者会見で質問を受けるのではなくあらかじめ用意された文書のみでは不明点も多く、不十分と感じる」とする見解を発表した。
ペンライトは4月、オンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で、被害者への謝罪や再発防止策の策定などを求める署名活動を開始。1カ月足らずで集まった1万6125筆を5月、同時期にSNS(ネット交流サービス)に寄せられたファンの声とともに事務所に郵送した。設立メンバーの一人であるファンの女性は、11日に開いた記者会見で「多くのファンは『性暴力は許せないけど、タレントは応援したい』という気持ちで板挟みになっている」と揺れる胸の内を明かしていた。
謝罪は評価 第三者委調査を要望
ペンライトは15日に発表した見解で、ジャニーズ事務所が被害を訴えている元所属タレントらに謝罪したことを「企業としてひとまず誠実な姿勢を示した」と評価した。一方、事務所が第三者委員会を設置しての調査を「ヒアリングを望まない方々も(調査の)対象となる可能性が大きい」として心理的負担を理由に見送ったことについては、「ヒアリングを受けるか、本人の意思確認を行うことは2次加害ではない」と反論。「望まない方々を尊重しながらも、調査結果の検証ができる道を探ってほしい」と第三者委員会による調査や検証を改めて要望した。
事務所が設置するとしている外部の相談窓口については「カウンセリングのためなのか、被害の実態調査を行うためなのか定かでない」と指摘。「被害を訴える人には適切なサポートを」「自ら申告しに行かなくてはならない窓口を設置するのみでは実態調査には不十分」と訴えた。
オンライン署名サイトでは今も署名が可能で、15日夕現在で1万8000筆を超えている。【黒川晋史、宮崎隆】