東証プライム上場の企業向けコンサルティング会社「アイ・アールジャパンホールディングス」(IRジャパン、東京)の業績悪化が公表される前に個人株主に株の売却を勧めたとして、東京地検特捜部は18日、金融商品取引法違反(取引推奨)の疑いで、同社元副社長の栗尾拓滋容疑者(56)を逮捕した。
逮捕容疑は令和3年3月下旬ごろ、同社が属している企業集団の2年度の売上高の予想値が以前に公表していたものよりも減少すると知り、3年4月上旬~中旬、IRジャパンの個人株主2人に対し、株価下落による損失を回避させるため、同社の株を売却するよう推奨。2人は4月中旬ごろ、計約1万1千株を計約1億8千万円で売却したとしている。
関係者によると、栗尾容疑者は逮捕前の特捜部の任意の事情聴取に対し、関与を大筋で認めていた。
IRジャパンを巡っては、証券取引等監視委員会が昨年6月、金商法違反容疑で栗尾容疑者の関係先を強制調査し、告発を視野に調査を進めていた。
IRジャパンは昭和59年に設立。企業の株主の調査などを手掛けてきた。近年は企業の経営陣に対し、積極的に意見を提案して経営に関与する「物言う株主」らへの対策業務で業績を伸ばしてきた。
栗尾容疑者は野村証券出身で、平成25年に中核子会社に入社し、27年に副社長に就任。監視委の強制調査を受けた昨年6月、「一身上の都合」で辞任した。