教員の長時間労働解消へ 文科相、改善策の検討を中教審に諮問

公立学校で問題化している教員の長時間労働を解消するため、永岡桂子文部科学相は22日、中央教育審議会に、教員の処遇改善策を検討するよう諮問した。公立校教員には、給料月額の4%を「教職調整額」として支払う代わりに、残業代を出さないと定めた教員給与特別措置法(給特法)の見直しなどを議論する。文科省は来春をめどに中教審から一定の結論を得て、来年度に給特法改正案を国会に提出することを目指す。
中教審は特別部会を設けて、文科省の有識者会議が4月に示した処遇改善への「論点整理」をベースに検討する。永岡氏は、教職調整額の引き上げ▽職務・勤務実態に即した手当の創設▽小学校で実施している35人学級の中学校への拡大――の必要性などについて答申するよう求めている。
永岡氏は22日の中教審総会で「(教員は)学校教育の成否を左右する。質の高い教員確保のための環境整備について幅広く検討いただきたい」と話し、荒瀬克己会長に諮問書を渡した。
文科省が2022年度に実施した公立校教員の勤務実態調査では、月平均残業時間(推計)は小学校で約41時間、中学校で約58時間だった。自民党の特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)は10日、教職調整額を10%以上に引き上げ、将来的には残業時間を月20時間に減らすことなどを求める提言を公表。政府が6月に取りまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させる方針だ。中教審は骨太の方針も踏まえながら議論を進める。【深津誠】