岸田総理襲撃事件で逮捕された木村隆二容疑者が、「2022年の参議院選挙に立候補できなかったのは憲法違反だ」として国を訴えた裁判で、大阪高裁は1審に続き、男の訴えを退けました。 裁判記録などによりますと、木村容疑者は2022年の参議院選挙で、立候補できる30歳に達していなかったために立候補できなかったことを受けて、「選挙制度が憲法に違反している」として、2022年6月、国に対し10万円の賠償を求めて神戸地裁に訴えを起こしています。 この訴えに対し、2022年11月、神戸地裁が訴えを退けたため、木村容疑者側が控訴していました。 今年4月15日、和歌山市で、岸田総理が演説する直前に爆発物が投げ込まれた事件で、火薬類取締法違反の疑いで木村隆二容疑者(24)が再逮捕されました。現在は、木村容疑者の事件当時の精神状態を調べる「鑑定留置」が行われています。 5月25日の判決では、大阪高裁も1審に続いて「選挙権より高い年齢要件は、被選挙により選出された議員等は高い社会的経験に基づく思慮分別が必要となるためで合理性がある」「供託金は候補者の濫立による弊害を防止するでためで一定の合理性を持つ」などとして、控訴を棄却し、木村容疑者の訴えを退けました。 ▼“本人訴訟”で争った木村容疑者~法廷に姿なく 木村容疑者はこれまでの裁判を、弁護士を付けずに争う「本人訴訟」で進めていて、25日の法廷には、鑑定留置中の身である木村容疑者の姿はありませんでした。 ▼裁判における木村容疑者の主張と神戸地裁の判断 木村容疑者は裁判の中で「満30歳未満の成人も『大人』なのに、参議院選挙に立候補できないのは、社会的経験に基づく思慮が十分ではなく、その分別を有しないことを理由とする差別だ」と主張していました。 これに対し、2022年の神戸地裁は、立候補年齢の要件について、「参議院に衆議院の行き過ぎを是正するなどの期待された役割を全うさせるべく、議員に社会的経験に基づく思慮分別に着目して年齢要件を設けていて、合理性がある」と判断していました。