長野県軽井沢町で2016年1月に大学生ら15人が死亡したスキーツアーバス事故で、長野地裁は8日、業務上過失致死傷罪に問われたバス運行会社「イーエスピー」(東京都)の社長高橋美作被告(61)に禁錮3年(求刑・禁錮5年)、運行管理者だった荒井強被告(54)に禁錮4年(求刑・禁錮5年)の実刑判決を言い渡した。
この事故では、乗客の大学生13人と乗員2人の計15人が死亡し、26人が重軽傷を負った。ハンドルを握っていた男性運転手(当時65歳)は死亡しており、現場にいなかった運行会社幹部に事故の責任を問えるかが焦点となっていた。
事故で亡くなった乗客の大学生の遺族らは、閉廷後に記者会見し、思いを語った。
遺族会「1・15サクラソウの会」代表で次男の田原寛さん(当時19歳)を亡くした義則さん(57)は、「予見可能性があったことが認められたことで、事故が回避できたのではと思ってしまう。父親として涙がこみあげてきた」と話し、「会社側の責任を認めてくれたのは大きい。これが警鐘となり、利益ではなく安全最優先の会社経営に少しでもつながればと思う」と判決を評価した。
池田衣里さん(当時19歳)の父、彰さん(58)は、実刑判決に「私たち遺族の思いが伝わった」としながらも、「娘は戻ってこない。今後同じようなことが起きないことがせめてもの望みだ」と訴えた。
西堀響さん(当時19歳)の父(63)は「監督責任、因果関係を判断していただいた。息子も結果を喜んでくれると思う」と語った。
事故から判決まで約7年半が経過した。大谷陸人さん(当時19歳)を亡くした父、慶彦さん(58)は「傷は一生癒えることはないが、お墓に報告したい」と話した。