政府は9日、熟練した技能を有する外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」を現在の2分野から11分野へ拡大する案を閣議決定した。2号を取得すれば無期限就労が可能になる上、家族の帯同も認められる。日本が人口減少社会に突入する中、外国人労働者の永住に道を開く大きな転換点となる。
特定技能は人手不足が深刻な特定産業分野で外国人を受け入れるため、2019年4月にスタートした。在留期間が通算5年の「1号」と、在留期間の更新回数に上限がない「2号」がある。1号は相当程度の知識・経験、2号はより熟練した技能が求められる。いずれも同じ分野内であれば職場を自由に選べる「転籍」ができる。
1号は全12分野あり、家族の帯同は認められていない。一方、2号は家族の帯同が可能だが、これまでは「建設」「造船」の2分野しか認めていなかった。
今回、2号の追加が決まったのは、ビルクリーニング▽製造業▽自動車整備▽航空▽宿泊▽農業▽漁業▽飲食料品製造業▽外食業――の9分野。12分野のうち「介護」は別制度で2号と同様の待遇が認められており、1号の全分野で無期限就労ができることになる。
ただし、2号は現場監督者として業務を統括できる程度の技能が求められ、取得のハードルは高い。今秋以降、各分野で2号への移行が可能かを見極める試験が始まる見通し。出入国在留管理庁によると、3月末現在の1号の在留者数は15万4864人、2号は11人。
閣議に先だって関係閣僚会議も開かれ、国際貢献を目的に外国人の技能を育成する「技能実習」を発展的に解消し、特定技能にキャリアアップしてもらうための新制度を設立する政府方針も確認した。【飯田憲、奥山はるな】