「闇バイト摘発」専従班、全国の警察に設置指示

警察庁は3日、昨年7月の安倍晋三・元首相銃撃事件を受けて見直した組織運営の新たな指針を都道府県警に示し、発表した。要人警護以外も含めて課題の洗い出しを行っており、SNSの「闇バイト」対策などを盛り込んだ。
安倍氏の事件では、要人警護が長年、都道府県警任せになっていた事実や、ネットで誰でも銃の作り方などの情報に触れられる社会情勢の変化に警察が対応できていなかった問題が浮かんだ。警察庁はこうした問題を「警戒の空白」と位置付け、見直すべき点がないかどうか全部門でチェックを進めていた。
新たな指針は、3日の全国都道府県警本部長会議で示された。
このうち「闇バイト」を巡っては、SNSで集められた実行役が事件ごとにメンバーを入れ替えながら特殊詐欺や強盗など様々な犯罪に関わっている実態を踏まえ、離合集散を繰り返す犯罪集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と定義。都道府県警の組織犯罪対策部門に専従班を設け、実態の解明や摘発に当たるよう指示した。
また、組織に属さずテロを起こす「ローン・オフェンダー(単独の攻撃者)」が治安の脅威として浮かんでいることから、対策を強化する。例えば、交番での相談や交通取り締まりで不審な情報を把握した場合に警備公安部門に報告させるなど、今まで以上に幅広く情報を集める。
このほか、経済安全保障に関わる部門の体制拡充や、交番の警察官が胸元などに「ウェアラブルカメラ」を装着する取り組みなどを進める。警察庁の露木康浩長官は3日の本部長会議で「警察力全体の最適化を図る」と述べた。