白亜紀の新種カメ 小学2年生が発見 9千万年前の地層

岩手県久慈市で白亜紀後期の地層から、新種のカメ類の化石を発見したと、早稲田大などが13日発表した。見つけたのは、当時小学2年生の久保佑(ゆう)さんで、恐竜や古生物を研究する両親に連れられて発掘調査に参加していた。
発見されたのは、リンドホルメミス科のカメ類の下あごの化石。現生するカメの中で最も繁栄しているリクガメ上科という仲間の祖先に当たり、アジアに広く分布していた。これまではほとんど甲羅しか見つかっておらず、最も古いものでも8500万年ほど前のものだった。
今回の化石が見つかった久慈層群玉川層は、火山灰中の放射性物質による年代測定から約9000万年前の地層であることが分かっており、リンドホルメミス科では最古の標本とみられる。これまでに甲羅の化石が見つかっていたが、今年3月に下あごが発見されたことが決定打となり、新種であると判明した。頭から尾まで20~30センチほどのサイズと推定される。
早稲田大の平山廉教授は「下あごの化石が見つかったことで、何を食べていたかなど当時の生態も分析できる点で非常に意義がある発見だ」と指摘した。
佑さんは「見つけた時、これは良い化石だといわれて、びっくりして声を上げました。新種だと知った時はとてもうれしかったです」と話した。
佑さんの両親は久慈の化石について共著論文も発表している研究者で、数年前から家族で発掘調査に参加していた。作業の途中で汚れてしまった長靴を現場の川ですすごうとした際、泥水の中からたまたま拾い上げた塊を割ってみたところ化石が出てきたという。母親で東京大講師の久保麦野(むぎの)さんは、「目が良いようで、これまでにもサメやワニの歯を見つけていたが、今回は重要な化石が見つかり本人も喜んでいる」と話した。
化石は、8月に東京大で開催される国際学会で新種として報告される。